第三十八幕:架け離れゆく虹
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どういう事だ!? 何がどうなっているんだ!?
七夏「えぅっ・・・うぅっ・・・」
主 「ななつっ!」
七夏ちゃんは、風水へ駆けてしまった。
<<七夏「くすっ☆ 虹を見ると幸せになれるのですよね?」>>
<<時崎「え!? ああ・・・そ、そうだね・・・」>>
<<七夏「私も虹を見て幸せになれるといいな☆」>>
虹を見ると幸せになれるなんて、誰が決めたんだ!? 七夏ちゃんは、虹を見て泣いてたじゃないか!!! 俺は七夏ちゃんに幸せになってもらいたいのに、なんでこんな事になるんだ!!!
さっきよりも、よりはっきりと輝く大きな虹。
時崎「副虹まで・・・なんなんだよ! 嫌味か?」
探してもなかなか見つからないのに、突然現れたと思ったら、俺と七夏ちゃんを引き離そうとするなんて・・・・・俺は、虹に対して初めて憎しみの感情を抱いてしまった。七夏ちゃんは虹に対してあまり良い印象を持ってはいなかったけど、今回の事で、虹の事がもっと嫌いになってしまったんじゃないのか?
<<七夏「私のせいで、嫌いになっちゃったら・・・」>>
嫌い・・・私のせいで・・・私のせい・・・私のせい???
時崎「!!!!! そういう事か! そういう事・・・なのか!?」
七夏ちゃんは、こんな時でも、俺の事を気遣っていた・・・なぜ気付けなかった!?
七夏ちゃんも、虹も悪く無い! 悪いのは、虹を見て素直に喜べなかった俺だ!!!
俺は、もう一度、大空を見上げる。虹の光は先ほどよりも優しく、憎しみを抱いてしまった俺を受け入れてくれるかのように思え、少しずつ儚くなってゆく・・・。
時崎「ま、待って!!! 待ってくれ!!! 俺はまだ・・・」
慌てて、写真機を構え、空色へと変わりゆく虹を追いかける! 何枚も何枚も追いかける・・・ただ、ひたすらに、がむしゃらに・・・・・。そんな俺を止めたのは−−−
「メモリーカードの空き容量がありません。空き容量のあるメモリーカードと交換するか、不要な画像を削除してください」
時崎「・・・・・」
形式ばった写真機からのエラーメッセージ。
時崎「不要な画像なんてあるはずないっ!!!」
空を見上げると、既にいつもの空。虹は大空へと戻っていた。
時崎「俺もこの空・・・いつものように・・・」
七夏ちゃんと話がしたい! 俺は急いで風水へ戻った。玄関を通ると、凪咲さんから声を掛けられた。
凪咲「柚樹くん、七夏と何かあったのかしら?」
時崎「・・・・・」
凪咲さんから訊かれる事くらい分かっていたはずだ。なのに、いつも後手後手になってしまっている。七夏ちゃんの事を「のんびりさん」なんて思っていたけど、俺の方がもっと、どうしようもないくらい・・・。
凪咲「急に
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