第三十八幕:架け離れゆく虹
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咲さんが、暖かな笑みを浮かべ、台所へ・・・そして、緑茶を持ってきてくれた。
凪咲「いつの間にか、雨が降っていたのね。ナオ、大丈夫かしら?」
七夏「お父さん、傘、持ってるのかな?」
玄関から音がした。
直弥「ただいま!」
七夏「あっ、お父さん! おかえりなさいです☆」
凪咲「あなた、お帰りなさい。大丈夫だったかしら?」
直弥「一応、折りたたみの傘は持ってたけど、急に雷と凄い雨で・・・って、時崎君!?」
時崎「直弥さん、こんばんは。さっき、停電がありまして・・・」
直弥「そうみたいだね。帰る途中で街の灯りが消えたから少し慌てたけど、大丈夫だったかい?」
時崎「はい! 七夏ちゃんが居てくれて、心強かったです!」
七夏「え!?」
直弥「そうか! 七夏は家の光だからね!」
七夏「お、お父さんっ!?」
凪咲「そうね♪」
七夏「お母さんまで!」
凪咲「あなた、雨に打たれてますから、先に流して来てください」
直弥「そうさせてもらうよ。じゃ、時崎君、失礼します」
時崎「あ、はい!」
直弥さんは、お風呂場へと向かってゆく。
七夏「あ、お父さんの浴衣!」
七夏ちゃんも、少し慌てながら直弥さんの後を追いかけてゆく。
凪咲「柚樹君、ありがとう」
時崎「え!?」
凪咲「七夏、とっても喜んでたみたいだから」
時崎「そう・・・ですか?」
凪咲「私の勘違いかも知れないけど」
凪咲さんの勘は鋭いから、勘違いではないと思う。そう意識すると急に恥ずかしくなってきた。
時崎「お、俺・・・部屋に戻ります。何かありましたら、声を掛けてください」
凪咲「はい♪ ありがとうございます。おやすみなさいませ」
時崎「はい。おやすみなさい」
まだ寝る訳ではないけど、そう話して部屋に戻る。部屋に置いてあるMyPadを見て、携帯端末よりもMyPadの方がより灯りとして適していたかも知れないと思いつつ、MyPadの画面を付けて、今の言葉を取り消した。
時崎「七夏ちゃん・・・」
MyPadの画面に大きく映った七夏ちゃんの写真。これを七夏ちゃんが見たらどう思うだろうか・・・いや、今回が初めてではなく、以前にもこのような事があったので、いつも俺のMyPadには七夏ちゃんの写真が表示されている印象を与えてしまいかねない。これは、少し恥ずかしく思う。
時崎「よし! アルバム作りに戻るとするか!」
アルバム制作に集中した。七夏ちゃんの瞳は、未来だけでなく、みんなを照らしてくれているのだと思った。
時崎「おやすみ、七夏ちゃん」
俺も、七夏ちゃんを照らせるように頑張りたいと思いながら、今日一日を締めくくった。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
遠くなった意識・・・最初にその事が意識なのだと気
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