第三十八幕:架け離れゆく虹
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すよね・・・」
その言葉は色々な意味に捉えられ、返答するのに少し時間がかかってしまう・・・。
時崎「怖くないよ。ありがとう、七夏ちゃん」
七夏「私、お母さんの様子も見てきます」
時崎「俺も一緒に!」
七夏「ありがとうございます。でも周りが暗いですから」
時崎「七夏ちゃん、机の上に携帯端末があるはずなんだけど、分かる?」
七夏「はい。机ですね。ちょっと失礼します」
七夏ちゃんは迷う事なく、机の場所へ辿り着き、携帯端末を探し当てる。その様子を見て、七夏ちゃんは暗闇での視界認識が高いという事を思い出す。瞳がより輝いて見えたのもその影響だろうか。
七夏「はい。どうぞです☆」
時崎「ありがとう」
俺は七夏ちゃんから携帯端末を受け取り、手探りで液晶画面を点灯させる。真っ暗だった部屋の様子がある程度認識できるようになった。
時崎「凪咲さん、台所か居間かな? とりあえず1階へ降りよう」
七夏「はい」
俺と七夏ちゃんは凪咲さんの所へ向かう。
七夏「階段、足元、気をつけてくださいね」
時崎「ありがとう」
情けない事に、俺は七夏ちゃんに頼りきってしまっている。七夏ちゃんが、ここの民宿の女将さんの立場であるとしても、これはもどかしかった。
七夏「ひゃっ!」
時崎「七夏ちゃん!」
窓から眩しい光と大きな音! 七夏ちゃんはその場で立ち止まる。俺は、何も出来ないままだ。
七夏「ごめんなさい! 驚いちゃって!」
時崎「あ、ああ」
再び、居間へと向かう。
七夏「ひゃっ☆」
時崎「!」
居間に到着した時、急に視界が真っ白になり、また雷かと思ったら、辺りの様子がはっきりと伺えるようになった。どうやら停電は復帰したようだ。
七夏「!!!」
時崎「凪咲さんっ!」
凪咲さんは、椅子で横になっていた。
七夏「お母さん! お母さんっ!」
凪咲「ん・・・七夏!? どうかしたの?」
時崎「???」
七夏「え!?」
凪咲「あらっ? 柚樹君も一緒?」
・・・どうやら、凪咲さんはここで「うたた寝」していた様子で、停電があった事には気付いていない様子だ。
凪咲「あ、ごめんなさい。ちょっと、うとうとしてしまって・・・」
時崎「いえ、さっき停電がありまして、それで・・・」
凪咲「まあ! 大変な所、何も出来ずにすみません」
時崎「いえ、こちらこそ、七夏ちゃんに頼りっぱなしで・・・」
七夏「・・・怖くなかったですか?」
七夏ちゃんは、さっきと同じ質問をしてきた。今度は戸惑う事無く言える!
時崎「七夏ちゃんのおかげで、心強かったよ。ありがとう!」
七夏「あっ・・・は、はいっ☆」
凪咲「ありがとう。柚樹くん」
俺と七夏ちゃんのやりとりを見ていた凪
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