Part.5
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「当然私も協力するわ!」
「私役立たずですねえ」
ああ、射命丸。おまえさんはこの《STR》対抗の処理が終わったら正気に戻ってくれ。さぁさ、《STR》対抗だ。
《STR》対抗 80 → 75 成功
杏里は影の腕から解放された。バランスを崩して倒れるねい。
「俺が受け止めよう。俺の《SIZ》は17ある。出来るな?」
ああ、出来るねい。じゃあ杏里は遊星に受け止められた。一方影の方は動揺している。信じられないものを見たように巨大な目をさらに大きく開いていた。
「ロールプレイを続けるわ。どうやら気付いたみたいね。16年経って色々変わったかもしれないけど、あんたが一番思い続けてきた生徒だものね」
「嘘だ……そんなはず……自殺したって……」
「噂を鵜呑みにして事実確認していないから知らなかったのよ。彼女はあんたがずっと謝りたいと願っていた予坂梨世さんご本人よ。あんたと違って亡霊なんかじゃない、確かに生きているのよ!」
「じゃ、じゃあまさか……」
「そのまさかよ。……あんたが今さっきまで殺そうとしていたこの子は梨世さんの実の娘、予坂杏里さんよ」
……あー、もういいや。《説得》は自動成功とする。ったく、ロールプレイ重視派は本当にのめりこんじまうからダイス振らせる隙がないねい。
萩村の説得を受け、自分の勘違いに気付いた影はさぁっと霧のように晴れていく。宙に浮かんでいた大きな目も眠りにつくように閉じ、消えて行った。
異様な雰囲気だった廊下の闇が晴れ、オレンジ色の夕日が差し込みだしたそこには眼鏡を掛けた、ごく普通の中年の男性が立っていた。
「賀川……先生……!」
ようやく状況を飲み込めたらしい予坂梨世が男性に向かって名を呼ぶと、男性は本当に嬉しそうに微笑む。そして男性こと賀川先生の亡霊は杏里を見て、頭を下げた。
「君が……予坂さんの娘さん、か。本当にお母さんに似た子だね。私はね、君のお母さんに酷いことを言ってしまった。そのことを悔やまぬ日なんてなかった。……けれど、私の過ちなどものともせず、君のお母さんは生きて、君はこんなに立派に育っていてくれたんだね。ありがとう。ここにいてくれて、生きててくれて本当にありがとう」
「は、はい……」
状況が変わりすぎて戸惑うように返事をする杏里だが、そんな彼女を愛おしそうに賀川先生は笑う。しかし、一回瞳を閉じた後予坂梨世の方に目を向けた賀川先生は、とても真剣な表情に変わっていた。
「予坂さん、あのとき、私は君に酷いことを言ってしまった。教師ならば相談してきてくれた生徒と真剣に向き合わなければならないのに、私は厳しい言葉ばかりを君に言ってしまった。本当に、本当に申し訳ない」
「そんな……先生は充分向き合ってくれまし
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