Part.3
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「当たりだな。畳みかけよう。先生。萩村が言ったように、俺たちなりに調べて『予坂』という名前の人物に1人アタリをつけたんです。……16年前、といえばわかりますか?」
「…………」
「……あの声の主は、16年前に辞めた男性教師に酷似していたんじゃありませんか?」
「…………」
「先生、私たちは文を助けたいんです。文は怖がっています。なんでかもわからずに名前を変えられて呼び出されたり、錯乱した先生に掴みかかれたり……お願いします先生。知っていることがあれば教えてください」
「お願いします、と俺は頭を下げる」
「私も頭を下げます、お願いします」
あー、うん。そこまでロールプレイしてくれたんだから判定は良いわ。本当、おまえらはこういう重要な場面でダイスに頼ろうとしないのな。
「萩村がロールプレイ重視派だから、俺たちがダイスで判定する隙が全くないんだ。気が付いたら説得終ってるし」
「そういうあんたらだってロールプレイ重視派じゃない」
「いやいやスズちゃんほどじゃありませんよ? ある程度のところまで言ったらダイス振りますし」
「面倒くさがらずに徹していればいいのよ」
そこまでロールプレイに徹底するのはおまえか咲夜の中の人くらいだよ。まぁいいや。《説得》は自動成功ってことで、宮城先生が神妙な表情でおまえさんたちに話すよ。
「……本人たちの名誉もあることだからこのことは多言無用よ? それだけは絶対にね?」
「はい」
「勿論です」
「真実が知りたいだけですから」
「ふぅ……あなた達も知っての通り、16年前にこの学園で事件が起きたのよ」
「事件、ですか?」
「ええ。この学園の生徒……予坂梨世さんがね、妊娠しちゃっていたのよ」
「え……まさかその相手って……」
「早とちりしないでね。そうじゃないのよ。相手は誰だかわからないわ。ただ相談相手が辞めた先生だったのよ。賀川康史先生っていう歴史学の先生でね、真面目な性格の先生だったわ。当時予坂さんのクラスの担任だった賀川先生は予坂さんからそのことを相談されたみたいでね。でも真面目で、物事を人一倍深く考える性格だった賀川先生は予坂さんに強く叱っちゃったのよ」
悲しい表情で語るのを見るあたり、その賀川先生は悪い先生ではなかったことがわかる。まだまだ続くよい。
「でも先生の叱責がショックだったんでしょうね。相談した先生に心無い言葉で叱られて、予坂さんは登校拒否になって、家出してしまったの」
「家出、ですか」
「ええ……。それから間も置かずに予坂さんの家族は引っ越ししてしまって……もう今、あの家族がどうなっているのか、わからないわ。当時の生徒たちの間では予坂さんが自殺したとか、そんな噂
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