クロノスを喰らうもの
Part.1
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「インターネットで調べてきたのならわかるだろうが、物覚えが悪そうな君のために私が速攻でお断りした理由を丁重に教えてやる。いいか? 私は確かにどんな依頼も受けるしどんな依頼も完遂する名探偵だぁだがしかぁし! 私に限らず優秀な人間を雇い動かすにはそれにふさわしい対価を支払ってもらう必要が出てくる。具体的に言うと金だぁ。一応聞いておこうか、君は一体いくらで私を雇おうとしている?」
「ご、5万――」
「はぁーっ、お話にならんね! たったの5万でこの私を使おうというのか? それともこの私がはいわかった喜んでと快く承諾すると本気で思っているのかぁ? だとしたら驚きだぁ! 新発見の人種だあ! 今すぐ研究所に自己申告して人体実験の被検体となるがいい。緩むどころか吹っ飛んでしまったその脳内お花畑な頭のネジがバージョンアップして戻って少しはマシになるだろう。それで稼いだ金を持って再びここに来たまえ」
「こいつさすがだわ。だがそこがいいねい。ある意味まっすぐだ。ぶれがないところに好感が持てるよ。少年には気の毒だろうがねい」
「完璧なロールプレイにほれぼれしますが、このままではシナリオが始まりませんね。GMの胃に穴が開いてしまいますので仕方ありません。先生に対して《説得》を使います。主人への使用ですので+10パーセントの補正。62パーセントですね」
「おっと十六夜さんダイスは振らなくていいぞ。ロールプレイで説得してみせたまえ」
「先生。大金の定義は人によって変わります。先生は先程ふさわしい対価を差し出せと申し上げました。確かに5万円は先生にとってははした金かもしれません。しかし、この子の場合はどうでしょう。失礼ですが、歳はいくつでしょうか?」
「じゅ、16歳です……」
「高校1年生ですね。高校生といえば、お金を使って色々な物を買いたくなる衝動が強くなる年頃です。男の子ですし、友達と遊びたい気持ちもそれなりに強いことでしょう。しかし、この子はそれを我慢して恐らくバイトして仕事もしたのでしょう。そうして手に入れた5万円なのです。この子にとっては5万円とは大金です。人生に3年しかない高校時代の貴重な時間と1人でここに来た覚悟も含めれば充分、相応しい対価を払っているとこの咲夜は考えております。それでもお気に召さないのであれば、私がこの子の依頼を受けましょう。その間の先生への給仕は、申し訳ございませんが休業させていただくことに――」
「いいだろう少年依頼内容を聞かせたまえ。私は応接用のソファに移動して座る。十六夜さんの家事がなくなるのは流石にヤバい」
「そこに反応したのかい。あたしは警戒を解いて目を瞑る」
「ありがとうございます。さぁ、あなたも座りましょう。大丈夫ですよ。先生は一回引き受けた依頼はどんな理由でも投げだした
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