何のために
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目を覚ました時、目の前には澄み渡る青空が広がっていた。随分と久し振りに空を見た気がした。
『ここは・・・?僕は、たしか・・・』
頭の中の靄を掻き分けるように、記憶を遡っていく。一番新しい記憶はアインクラッドでの白の剣士との会話、それ以降は呑まれるように意識が薄れていったのを覚えている。
『目が覚めたか?』
『ッ!』
『ここはアインクラッドの中でも穴場のフロアでな、よく来るんだ』
『白の、剣士・・・』
隣に座っていたのはつい数時間前まで殺し合いをしていた相手、白の剣士がそこにいた。
『安心しろ。お前の中にいるヤツは大人しくしてるよ、今はな』
『お前、どうして・・・』
『なぁ、十番勝負やろうぜ』
『十番、勝負・・・?』
『勝ち越した方が負けた奴に好きに命令できる権利を得る。最初の一戦はさっきのだとして・・・あれは邪魔入ったって事で引き分けだな』
突然の提案にシュタイナーは困惑していた。
ついさっきまで殺し合いをしていた相手に十番勝負を申し込んでくる彼の真意が分からなかった。
『どういう、つもりだ?』
『どうもねーよ。ただその方が・・・』
シオンは草原に寝転び伸びをし、呟いた?????。
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シウネーさんから連絡が入った。新アインクラッド27層のボスモンスターを倒してしばらくした後、始まりの街の石碑にてユウキが失踪したという話だった。
僕はユウキのいる病室へと足を運ぶと、そこには変わらずベッドで眠るユウキの姿があった。
「ALOにログインしてないらしいね」
「ッ・・・」
「何があった?」
「シュー兄、ボク・・・アスナのことWねえちゃんWって呼んじゃったんだ・・・」
その言葉に僕は「そっか・・・」という言葉が出なかった。
ユウキの姉、紺野藍子は木綿季と同じくAIDSに感染し先に命を落としてしまった。藍子と木綿季は正反対の性格で常に前を行く木綿季を藍子が後ろから優しく眺めている光景を僕は何度も見ては微笑ましく思っていた。
確かに藍子のアスナを比べてみると似ている点が多く見受けられる。
「木綿季は、どうしたい?」
「アスナと、話したい。アスナに言ったんだ、『ぶつからなきゃ伝わらないことだってあるよ』って・・・。自分で言っておいて、こんな状態じゃダメだよね」
スピーカーから聞こえてくる木綿季の声は心なしか張りがあり決意の現れが見られた。
彼女は、運命から逃げないことを決めたようだ。
「そっか・・・そうだよね」
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