第四十七話 ハーフエルフの少女
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レア、ティファニアを頼む」
「頼まれますけど。どうなさるつもりですか?」
「攻撃してきた奴と話をつける……今の攻撃はウチの連中だろう。それに……」
先ほどの銃声でなのか、場内がにわかに騒々しくなってきた。
「騒ぎになったら色々とマズイな。カトレアはティファニアを……って、ティファニア。ティファニアは何処から来たんだい?」
「うう、ひぐ……ええっと、あっち」
涙を流すティファニアは、東の塔を指差した。
「立ち入り禁止の東の塔か。なるほど……」
マクシミリアンは、このティファニアがモード大公の縁者である事を直感した。
「カトレアはティファニアを、東の塔へ帰してやってくれ。衛兵に見られたら大問題だ」
「はい、マクシミリアンさま。ティファニア行きましょう?」
「うん」
「それじゃ、僕は西の塔へ行く」
そう言ってマクシミリアンは『フライ』で空を飛び、西の塔へ向かった。
二人の探検は可愛い闖入者の登場でお開きとなった。
☆ ☆ ☆
その後、ティファニアは無事に東の塔へ帰り、セバスチャンらの発砲も有耶無耶にして夜が明けた。
城内はいつもと変わらず、衛兵や文官、メイドがそれぞれの仕事に行き来し、喧騒に包まれていた。
しかし、その喧騒とは無縁の場所が城内に存在した。
その場所とは、モード大公の執務室で、モード大公とマクシミリアンの二人だけしか居なかった。
マクシミリアンは、帰国の前に昨夜の出来事を報告する為、モード大公に秘密の会談を申し入れ、それが承諾されたのだ。
マクシミリアンは、予め『サイレント』を唱えておき、執務室から漏れる音は一切無くなった。
「さて……モード大公、昨夜の事ですが……」
あえて、『叔父上』ではなく『モード大公』と呼んだ。
「分かっている。見たのだろう? あの子を」
「はい、ティファニアと名乗りました」
「あの子は、エルフの女との間に生まれた、私の娘だ」
「ハーフエルフ……という事ですか?」
「そういう事になる」
「しかし、わざわざエルフを囲うとは酔狂な……この事をロンディニウムのジェームズ王は?」
「知らない。知らせる訳にはいかない」
当然だろう、悪魔と同意語のエルフを囲い、あまつさえ子供まで生まれてしまい、そしてその子はアルビオン王家の血を引いている……発覚したら醜聞どころではない、モード大公どころかアルビオンそのものもただでは済まない。
「知ってしまった僕とカトレアは、どうなるんでしょう? 口封じに殺されるのでしょうか?」
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