137部分:第十二話 家族その十
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第十二話 家族その十
「じゃあ」
「行こう、まずはね」
「それで」
行こうと言った如月にさらに問うた。
「それだけじゃないわよね」
「うん、まだしたいことがあるから」
「わかったわ。それじゃあね」
「それもついて来てくれるのね」
「今の如月を一人にするなんてできないから」
その心も身体もやつれ壊れそうになっている彼女を見てだった。それはとてもできなかった。今の弥生にはだ。
「行くわ」
「そうしてくれるのね」
「ねえ」
そしてだった。弥生はだ。
如月のところに来てだ。こう言ったのだった。
「あの写真みたいにね」
「あの写真・・・・・・」
その皆で笑っている写真である。それを指し示しての言葉だった。
「私達また、一緒に笑えるわよね」
「一緒に・・・・・・」
「そう、一緒にね」
こう言うのだった。写真を指し示して。
「皆で」
「笑いたい・・・・・・」
如月はその写真を見ながら言った。
「もう、暗くて寂しいのは」
「嫌よね」
「弥生、私馬鹿だった・・・・・・」
その写真と弥生を見ながらだ。如月はまた涙を流した。
顔が崩れてしまいそうになってもだ。それでも泣いていた。
二つの目からぼろぼろと溢れ出てくる。それを止めることができなくなっても。そのうえで泣いてだった。
「いじめられるのがどんなに辛いのかわかってたのに。むかつくってだけでいじめて。それで・・・・・・」
「許されないことはしたわ」
弥生はその彼女の両肩にそっと手をやって言った。
「けれどね」
「けれど?」
「これからよ」
こう言うのだった。
「これからだから」
「これからなのね」
「そう、これからまたね」
言う言葉は前と同じだった。しかしそれでも言うのだった。
「やっていけばいいから」
「うん・・・・・・」
「じゃあ」
優しい声をかけてだった。
「お茶飲む?」
「お茶?」
「紅茶淹れるけれど」
それだというのである。
「一緒に飲む?レモンティー好きよね」
「うん」
「久し振りに一緒に飲もう」
その優しい声での言葉だった。
「二人でね」
「うん、じゃあ」
「クッキーもあるし」
如月が好きだとわかって。そのうえで薦めているのである。
「楽しくね」
「楽しく、ね」
「二人で飲みましょう、今からね」
こう言ってであった。如月を誘って。
「いつも通りね」
「いつも通り?」
「そう、いつも通りね」
こう話すのだった。
「そうしましょう」
「いつも通りなのね」
如月は弥生のその言葉に少し不思議な顔になっていた。
そしてだ。その理由も話すのだった。
「あの、それは」
「友達でしょ、子供の頃から」
これが弥生の今の言葉だった。
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