137部分:第十二話 家族その十
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「そうでしょ?だからね」
「それでなの」
「絶交したけれど。それでも」
「いつも通りに」
「飲みましょう、それでいいわよね」
「うん」
弥生の言葉に。やっと頷くことができた。
そしてだ。何とか笑おうとした。
しかしそれはまだできなかった。笑顔はまだ作れなかった。
そのことに悲しい思いを感じた。だがここでまた。
弥生がだ。優しい声で言ってくれた。
「そうしなくていいの」
「そうしなくて」
「そう、無理はしなくていいの」
そうだというのである。
「それはね」
「そうなの、無理は」
「自然に笑えるようになるから」
だからだというのである。
「無理はしなくていいの」
「だから」
「そうよ。無理はしないで」
「わかったわ。じゃあ」
「とにかく飲みましょう」
弥生はまた促してきた。
「じゃあいいわね」
「ええ」
こうして如月は弥生と共にその紅茶を飲むのだった。それははじめて飲んだ時の様に温かく、そして甘かった。心の味を感じた。
第十二話 完
2010・9・29
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