第二章
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る。
世襲にしろそうでないにしろ、国を守り民を導くことが王の絶対的な職務である。もし王がそれを自らの利益のために怠れば、国は弱くなり、他国に攻め滅ぼされかのない。先の大戦で、シュトゥフはそれを嫌と言う程思い知らされたのである。
たが…王が暗殺されたとなれば、法が正しく動かされるとは考え難い。その為の暗殺なのだから、これを止めることは並大抵のことではない。
「シュトゥフ氏はどうだ?」
「…あの身体じゃ動けねぇよ。だから…こうしてお前を呼びに来た。」
イェンゲンにそう返され、ルーファスは少し考えて彼を一旦部屋で待たせ、マルクアーンの元へと向かった。
扉の前まで来てノックをしようとした時、中から「入れ。」と言う声が聞こえたため、ルーファスは直ぐに扉を開いて中へ入った。
見ると、マルクアーンは何もかも知っている様子で、全ての支度を済ませて椅子に腰掛けていた。
「王が殺されたのであろう?」
「もう知ってたのか?」
「ああ。星が一つ流れたからの。して、どう動くつもりだ?」
そのマルクアーンの問いに、ルーファスは淡々と答えた。
「俺は王都に向かう。恐らく黒幕も王都に居るはずだかんな。シヴィルはシュトゥフ氏の元へ向かってくれ。」
「承知した。お前はヴィルベルトを連れて行け。後の二人はわしが面倒を見る故な。」
マルクアーンはそう言い終えるや、そのまま部屋を出てエリーザベトとクリストフを叩き起こし、二人に説明をして宿を引き払う手配をした。
ルーファスもヴィルベルトを起こし、彼にイェンゲンを紹介するや、直ぐに支度を整えさせたのであった。
「師匠…この騒ぎって…。」
「向こうに着かなきゃ何とも言えねぇが…お前の想像通りかも知れねぇ。」
ルーファスはそうヴィルベルトに答えて後、イェンゲンへと問い掛けた。
「お前、どこに移転するつもりだ?」
「王城近くの青の館だ。そこには今、この国の魔術師と神聖術者が集まってんだよ。ほら、行くぞ。」
そう言うやイェンゲンは詠唱を始めた。
すると、その力は直ぐ効力を発揮し、三人の姿はこの宿から消え去ったのであった。
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