第二章
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そこにいたコック達に教える傍ら、ホールのテーブルに座る四人にもそれを作って食べさせた。
最初は恐る恐る口にしたそれを、四人は一気に平らげてしまったのであった。
「お兄様…これは素晴らしい料理ですわ…!」
「エリザ、だから兄になったつもりはねぇっつってんだろが…。ま、そうだな。こりゃ、文句無しに旨ぇよ。」
「そうですね、師匠。僕もこんな料理初めてですけど、こんなに食感も風味も変わるなんて…。」
「そうだよねぇ…。僕もヴィルベルト君の言う通りだと思うよ。淡白な魚が、こんなにも濃厚になるなんて…。」
皆がそう口々に賛辞を贈るのを見て、マルクアーンはニンマリと笑みを溢したのであった。
その後、この料理は店の看板メニューとなった。マルクアーンは後日にレシピの改定や、魚だけでなく肉類などの調理法も書き添えて店主に送っているが、それが今日までも伝わっていると言われている。
さて、一行は食事を済ませて後、再び馬車で出発したは良いが、マルクアーンの料理教室のお陰でかなり時間を使ってしまったため、ロシュの街で宿を取ることになった。ルーファスらは野宿でも良かったのであるが、エリーザベトとクリストフが絶対に宿を取ると言って聞かなかったのである。
「ったく…野営したって良いじゃねぇか…。」
「嫌ですわ!外は虫だらけじゃありませんか!」
「そうです!あんなんじゃ安心して眠れないじゃないですか!」
ルーファスの文句に二人は大声を上げて返したため、その場にいた他の客達が何事かと、一斉にルーファスらへと視線を向けた。
「えっと…お二方、もうここまで来てますし、泊まることは決まってますし…少し静かにして頂けますか…。」
ヴィルベルトは何とか二方を宥め賺しながら師をちらっと見ると、ルーファスの表情は不機嫌そのものになっていた。
そのため、ヴィルベルトはルーファスの元へ歩み寄って言った。
「師匠、もう宿に入ってますし、今回の旅はマルクアーン様も一緒ですから…宿の方が良いのではないですか?」
「いや、何かあった場合、この客達も危ねぇんだ。」
「それだったら今までも…。」
「ヴィー…もうこの辺りは、例の封印にかなり近付いてんだよ。こっから先、何が起こるか知れたもんじゃねぇんだ。」
「…それって…。」
ヴィルベルトは表情を強張らせた。
その時、二人の会話を聞いていたマルクアーンが言った。
「ま、そこまで心配せんでも良かろうて。ここの国土自体、そう妖魔が暴れられる程の魔力はない。下級妖魔ならば、数時も動き回れまいて。」
「そうは言っても、俺らはあんたを守るのが仕事だ。」
「解っておる。全く…そんなに考え込んでおると、早ぅ老けるぞ。」
「うっせえよ!」
そうしてマルクアーンとルーファスの言い合いが始まり、その隣ではエリーザベトとクリス
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