133部分:第十二話 家族その六
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第十二話 家族その六
そうしながらだ。彼女に言うのであった。
「ねえ」
「ええ」
「それまで待っていてね」
「うん・・・・・・」
「それから。また」
「また?」
「やることがあるから」
こう俯いて言う弥生だった。
「その時にね」
「やることって?」
「その時にわかるから」
今は言わないのだった。
「それじゃあね」
「うん、じゃあ」
「朝御飯だけれど」
「それは」
「後で持って来るから」
弥生がだというのだ。
「私が来てることは家族の人はね」
「知らないわよね」
「いえ、知ってるわ」
それはだというのだ。知ってるというのである。
「おばさんに携帯でメールしておいたから」
「そうだったの」
「返事はなかったけれど」
それでもだというのである。
「それでもね」
「知ってるのね」
「私だと何も言われないし」
これは弥生だからだ。如月の家族にとっても彼女はもう家族同然の相手なのだ。そこまで深い付き合いがあるということである。
「だからね」
「本当に有り難う」
「如月も。もう反省してるし」
「だから・・・・・・」
「そう、だからね」
如月にこうも話した。
「今は」
「だからなの」
「正直反省してるのがわかってほっとした」
着替え終えてから。彼女を見て話した。
「本当にね」
「ほっとしたの」
「そうよ。ほっとしたわ」
弥生はまた言った。
「だから。帰ってからまたね」
「うん、またね」
「行ってきます」
「行ってらっしゃい」
二人は笑顔で挨拶を交えた。暫くして扉の前に朝御飯が置かれた。二枚のトーストとホットミルクである。如月はそれを部屋の中で食べた。
一緒に昼のものも置かれていた。サンドイッチやパンだった。それは昼に食べた。だが家族は誰も来なかった。彼女だけだった。
しかしだ。夕方弥生が帰って来るとだった。
「いいわね」
「それで何をするの?」
「下に来て」
こう如月に言うのだった。
「下にね」
「下に」
「そう、下にね」
そこにだというのである。
「いいわね」
「わかったわ。それじゃあね」
こうしてだった。二人で下に降りる。するとそこにだ。
家族がいた。三人共。彼等は如何にも嫌そうな顔でリビングのソファーに並んで座ってだ。そのうえで弥生に対して言うのであった。
「弥生ちゃんの言葉だから聞いたけれど」
「それでも。何でだよ」
「全くだよ」
如月を見ようともしないでだ。そのうえで彼女のことを話す。
如月は家族が集まっているのを見て驚きの表情になった。しかしそれはすぐに消えて俯いてだ。そこから完全に沈黙してしまった。
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