三十四匹目
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。
なら、全部あげてみようかな。
「ティア、コアが増える利点は?」
「あたまが良くなります」
「欠点は?」
「魔力のしょうひがふえます」
なんだそれだけか。
「どれくらい?」
「いっこにつきいち割ほどです」
ふむ…今あるスライムコアは50くらい…。
「ティア。僕の魔力でティアはどれくらい動ける?」
「ごしゅじんさまの魔力量ならかたてまで一月ほどは」
けっこう燃費いいんだなスライム。
じゃぁ50個プラスすれば今の六倍…30割る六…だいたい一週間か。
「わかった。じゃぁ毎日魔力を注いでやろう。スライムコア全部食っていいぞ」
部屋の角にある麻袋を指差す。
「いいんですか?」
「頭が良くなるんでしょ?」
「はい」
「あ、でも僕に刃向かうとかやめてね全力で抵抗するから」
「逆らいませんよ。だってわたしに知性と理性をくださったのはごしゅじんさまですから」
ティアは麻袋に手をいれるとスライムコアを吸収しはじめた。
ティアの透明な体の中に球体がたくさん透けて見える。
「どうだ? ティア?」
「すこぶる快調です。ご主人様」
さっきまで少し舌足らずな話し方だったが、流暢に話す。
「んーと……32割る4は?」
「八」
「144割る3」
「48」
「5のマイナス二分の一」
「ルート5分の一」
「ルート7の整数部分は?」
「2」
おー…。すごいな。
「ぐっじょぶ」
これは有能な助手が着いたと思った方がいいかもしれないな。
さて、そんな助手にいつまでも裸で居られるのは困る。
「ティア。服を作ろう」
本棚からこの前書いた魔導書を引っ張り出す。
魔法の媒体になる特別な紙とインクで書かれている。
選んだページに書いてあるのは錬金術。
ポリエチレンの錬成式だ。
ティアには不定形状態になってもらい、一緒に薪炭材置き場に向かう。
好都合な事に向かった先には誰も居なかった。
水を錬成した桶に入れて、大量の木炭をぶちこむ。
これでOK。エチレンは二個の炭素と四つの水素からできていて、ポリエチレンはそれの重合物でしかない。
ページを開く。
有機化合物系の錬成は細心の注意が必要だ。
ミスったら有毒ガスが発生しかねない。
「女神サークリオンよ。円環への道を我に示し給まえ。
ジェネレート・ポリエチレンクロス!」
本に魔力を注ぎ、錬金術を発動させる。
木炭と水が形を失い、融けていく。
やがて少しずつ少しずつ形ができていく。
白く濁ったワンピースが形を表す。
「できたよ。ティア」
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