128部分：第十二話 家族その一
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第十二話 家族その一
第十二話 家族
如月は弥生に連れられて家に着いた。そうしてだ。
弥生がだ。彼女に声をかけてきた。
「ねえ」
「うん・・・・・・」
「中に入ろう」
こう彼女に声をかけたのである。
「今からね」
「うん、けれど」
「御家族もなのね」
「お父さんも。お母さんも」
家でずっと言われ続けてきたことを思い出してだった。足が動かなくなった。それでどうしても前に進めなくなってしまったのだ。
言葉だけが出る。その言葉は。
「睦月も」
「皆なの」
「私に言うから。だから」
「大丈夫よ」
しかしだった。ここでまた言う弥生だった。
「それはね」
「大丈夫って・・・・・・」
「私がいるから」
「弥生が」
「そう、いるから」
こう彼女に声をかけるのだった。
「安心して。中に入ろう」
「けれど弥生・・・・・・」
「私がいるなら安心できるわよね」
「うん・・・・・・」
弥生のその言葉にこくりと頷いた。
「それじゃあ」
「中に入ろう」
また言う弥生だった。
「いいわね、それで」
「ええ」
如月は遂に頷いた。そうしてだった。
また弥生が手を握ってきた。温もりが伝わる。
温もりを感じてからだ。如月は足を前に進めた。
そのうえで家の中に入る。そこは。
奇麗になっていた。掃除されてだ。あの荒れ果てた様子はもうなかった。それを見てだ。如月はまだ半ば虚ろではあるがそれでも言った。
「これも弥生が」
「気にしないで」
自分のこのことはあえて前に出さなかった。
「あがろう」
「う、うん」
気付けばまだ玄関だ。靴を脱いでそうしてだった。
自分の部屋に入る。そこも奇麗になっていた。
あの何もかもが荒らされ壊された無惨な有様もそこにはなかった。全てが奇麗になってだ。元通りとまではいかないまでも奇麗な姿を取り戻していた。
その部屋を見てだ。如月は弥生に言った。
「有り難う・・・・・・」
「これだけじゃないから」
「これだけじゃないって」
「ほら、これ」
さっと部屋の中の本棚のところに行ってだ。あるものを出してきた。
それはアルバムだった。卒業アルバムに他のアルバムもある。岩清水達に破られてしまった筈のそういったものがだ。そこにあった。
そのアルバム達を見てだ。如月は確かなものを少し取り戻してだ。こう弥生に言った。
「まさかこれも」
「小学校とか中学校に行って。それに写真のネガも」
「あったの」
「全部私が持ってたじゃない」
弥生はこのことも話した。
「そうだったから。全部」
「弥生、こんなことまで」
「これもよ」
今度は一枚の写真を出してきた。二人が一緒に写っているその写真だ
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