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黄金バット 第二十五話 フー=マンチュー博士五稜郭の攻防
第二章

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「土方直哉といいます」
「土方というとまさか」
 市長さんは新選組の副長さんで五稜郭で壮絶な戦死を遂げたあの人を思い出しました。
「あの人の子孫なのかい?」
「いえ、あの人とは苗字が一緒であるだけです」
 それだけだというのです、見れば五稜郭の時の土方さんの服装そのままで刀も持っています。
「函館に住んでいる刀鍛冶で包丁も造っています」
「その人がどうして」
「私は最初の市民の突入に参加していました」
 木の人形達に押し返されたその時にというのです。
「無念でした、ですが今度こそです」
「いや、それは危ない」
 市長さんは土方さんの申し出を断りました。
「相手は魔人だよ、だからね」
「私が行くことはですか」
「駄目だよ、あの博士にはね」
 魔人であるフー=マンチュー博士にはというのです。
「普通の人が束になっても敵わない、現に貴方も押し返されたね」
「はい、ですが負けていられないです」
「敵う筈がないというのに」
「はい」
 だからだというのです。
「それでも行かずにいられないです」
「気持ちとして」
「それは函館の皆も同じです」
 土方さんの言う通りでした、一度は押し返された函館の人達はバリケードと機動隊の人達が行かせまいとしてもです。
 それぞれまた鉄パイプや木刀等を持って五稜郭を囲んで言うのでした。
「今度こそは負けないぞ!」
「五稜郭を取り戻すんだ!」
「魔人なんかに負けるか!」
「フー=マンチュー博士に勝つぞ!」
 こう言って戦おうとします、これには機動隊の人達も困ってしまい市長さんもどうすべきか迷いました。
 市民の人達の熱意を受けるべきか安全を考えるべきか、今まさに判断を迫られていました。土方さんは市長さんの前を後にして既に五稜郭に向かって車を飛ばしています、五稜郭はもうどうなるかわからない状況でした。
 ですがここであの声が聞こえてきました。
「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「あの笑い声は!」
「まさか!」
 宙にあの男がいました、黄金バットです。
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