127部分:第十一話 迎えその十六
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第十一話 迎えその十六
「だから」
「待っていてくれたの」
「最後の日になったけれど」
「来てくれたの」
弥生のそのことにだ。如月は驚きを隠せなかった。それで驚いたままだ。弥生に対してさらに言うのだった。そうしてであった。
「あの、もう」
「だから。友達じゃない」
絶交のことはこの言葉に打ち消された。
「そんなのは」
「友達・・・・・・」
「やっぱり、私如月の友達だから」
つい俯きそうになる。しかし目は如月に向けたままの言葉だった。
「来たの」
「・・・・・・そうだったの」
「帰ろう」
弥生は優しい声で如月に言ってきた。
「これからね」
「ええ」
如月も弥生のその言葉にこくりと頷いた。
そしてだ。今一歩前に出た。
弥生も前に出てだ。そうして。
如月を抱き締めた。そのすっかりやつれてしまった身体をだ。
これまでいつも抱き締めてきていた。だが久し振りに抱き締めたその身体はだ。信じられない程やつれてしまい今にも壊れてしまいそうになっていた。
その身体を感じてだ。如月に言った。
「辛かったわよね」
「・・・・・・・・・」
如月はだ。言葉を出せなかった。
「これからは。またずっと一緒だから」
「ずっと・・・・・・」
「そう、ずっとよ」
こう如月に言うのである。
「前と同じ。ずっと一緒だから」
「いいの?私は」
「いいわ。もういいのよ」
また如月に言った。
「だから。もうね」
「そう、なの・・・・・・」
「帰ろう」
抱き締めながら言ってきた。
「今からね」
「うん・・・・・・」
「さあ、荷物は」
また自分から言う弥生だった。
「私が持ちます」
「いいのかな、それで」
「貴女が」
「はい、持ちます」
如月は師走と水無に対しての言葉だ。
「ですから」
「そう、だったら」
「御願いするわね」
「はい。じゃあ弥生」
荷物を受け取って背負って左手に持ってだ。そのうえでまた如月に顔を向けてだ。
利き腕を彼女に差し出してだ。言った。
「帰ろう」
「う、うん」
「ほら、帰ろう」
手を差し出したまま戸惑う如月に言う。
「いいわよね、一緒に」
「うん・・・・・・」
弥生の言葉にこくりと頷き。そうして。
握り返して。涙を流して言った。
「有り難う・・・・・・」
言葉を出し終えると二つの目から涙がぼろぼろと落ちてだ。止まらなかった。
そしてそのまま泣いて。彼女はまた言った。
「来てくれて有り難う・・・・・・」
「友達じゃない。だから来たのよ」
弥生もだ。涙を流しはじめて返した。
「私達。ずっと友達だって言ったわよね」
「うん・・・・・・」
「やっぱり。見捨てられない」
彼女の偽らず心の言葉だっ
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