第6章:束の間の期間
第190話「打てる手」
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は手元にある端末を使う。
画面には目まぐるしく数字が高速で表示されていく。
「……見つけました……!」
「本当かい?」
「ここです……!この時間座標からこちらの時間座標までの数値が、乱れています……!」
「なるほど、これが時間の境界を……」
一見解読不可の文字が羅列しているようにしか見えない画面。
その文字の羅列は、時空間の異常を指し示していた。
「……いや、待ってくれ。範囲を広げてほしい」
「え?あ、はい……!」
端末に入力をし、表示する範囲を広げる。
「ッ……!これは……!」
「不味い……!広がっている……!」
男性……グランツ博士と同じように、ユーリも異常に気付く。
「速度は速くない。しかし、確実に……」
「時空間の境界が、どんどん……その影響も、広がって……」
二人が見つけた異常は、徐々に範囲を広げていた。
「中心点は……君達がいた時代と、ここのちょうど中間……」
「と言う事は、私達がこちらに来たのが……?」
「いや、それにしては影響が出るのが遅い。関係しているのは合っているかもしれないけど、原因ではないだろう」
ユーリの脳裏に、自分達のせいかもしれないという考えが過る。
だが、それはすぐにグランツによって否定される。
「……それにしても、これは僕らの手には負えないかもしれないぞ……」
「それほど……なんですか?」
「単純な魔法や力でどうにかなる代物じゃないからね。ましてや、時空間の乱れを正す方法なんて、具体的に確立されていない。突貫で手段を作り出しても、検証もなしに試す訳にも……」
「……手詰まり、ですか……」
自分達ではどうしようもない。
その事実にユーリは不安になる。
―――さらに、そこに追い打ちが掛けられた。
ズンッ……!!
「きゃあっ!?」
「な、なんだい!?」
地震のような揺れが、二人を襲う。
「地震……ではないね。揺れが継続する訳でもなく、まるで籠を下から突き上げられたかのような衝撃だった……」
「次元震でしょうか……?」
「……いや、その類の数値が検出されていない。その代わりに……」
グランツは傍らに置いておいたタブレットのような端末をユーリに見せる。
「これは……空間が……」
「歪みが起きている。……キリエとアミタが外に出ていたはずだが……」
空間を表す数値に、大きな乱れが出ていた。
幸い、ユーリ達がいる研究所は無事だが、アミタとキリエは外出していたのだ。
そんな二人の心配を、グランツはしていた。
『―――士!博士!!聞こえ
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