第6章:束の間の期間
第190話「打てる手」
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情が出ていたのだ。
「『……やっぱり、優輝の中では緋雪は大きな存在なのね……』」
「『なんだか、羨ましいなぁ……』」
感情を失ったはずなのに、それが感じられる。
つまり、それだけ影響を及ぼす程、優輝の心の割合を占めているという事だ。
「『……でも、光明が見えたね』」
「『……そうね。もしかしたら、優輝の感情が戻るかもしれない』」
具体的な方法は分からない。
しかし、それでも感情の兆しが見えたなら、感情が戻る可能性があるという事になる。
「『方法としては……やはり、揺さぶりを掛ける事が要かしら?』」
「『出来れば正の感情で揺さぶりを掛けたいね。負の感情だと、司ちゃんみたいに囚われてしまうかもしれないから』」
「『同感ね。それに、下手に揺さぶりを掛けて悪影響が出ても嫌だしね。出来る事なら、特大の正の感情で揺さぶるべきね』」
椿と葵は知らない事だが、優輝と緋雪が再会した時も感情が僅かに戻っていた。
その事から、椿と葵の推測は大まか合っていた。
「『……となれば……』」
「『今取れる手の中で、最善と言えるのは……』」
結論をわざわざ口に出さずとも、二人共考える事は同じだった。
優輝の感情を戻せる要因として、最も可能性が高い存在。
その存在と優輝を会わせれば、感情が戻るかもしれないと。
―――すなわち、緋雪を式姫として召喚するべきだと、考えた。
「そっちはどうだい?」
「何とか観測出来ています。しかし、目的のものは……」
「ふむ……波長が合わない、と言うべきかな?」
とある研究所。そこで、一人の男性と少女が会話していた。
なお、この場には二人だけでなく、何人かが機材の持ち運びなどで奔走していた。
「波長ですか?しかし、以前と同じように……」
「変動している、と言う事だよ。これだけの異常事態だ。影響が出てもおかしくない」
「なるほど……」
機材に示される数値は、以前と同じように調べたものと、結果が違っていた。
調べ方が同じなのに違うという事は、その調べるものが変質しているという事だった。
「少し、アクセスの仕方を変えよう。ユーリ君、頼めるかい?」
「はい。お任せください。シュテル、レヴィ、ディアーチェ!」
方法を変えるために、少女……紫天の盟主ユーリは、紫天の書のマテリアルである三人を呼び、あるものが書かれた端末を人数分投げ渡した。
「それに書かれた機材を手分けして持ってきてください」
「分かりました」
「まっかせてー!」
「うむ、任せよ」
必要な機材は三人に任せ、ユーリ
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