第6章:束の間の期間
第190話「打てる手」
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…」
神夜はヴィータのその言葉を聞き、心を打たれたように言葉を失う。
「………ありがとう………!」
今までの全てが間違っていた。
そんな罪の意識の中だった神夜にとって、その言葉は救いだった。
間違いを犯し、それに気づいていなかった中でも、正しい事はあったのだと。
助けようとした事自体に、間違いはないのだと、再認識させてくれた。
……それが、神夜にとって、嬉しくて堪らなかったのだ。
「うん!見事に食料が半分壊滅だよ!」
その夕方、優輝達は久しぶりに家に帰って来た。
優香と光輝も、今回は共に帰ってきていた。
なお、それなりの日にちが経っていたため、日持ちの良くないものは全滅していた。
「電気は止まっていないのね……」
「幸い、発電施設は無事だったみたいね」
海鳴市とその周辺は被害が少なかった事もあり、電気設備も無事だった。
尤も、だからと言って無駄遣い出来る訳でもないが。
「唐突な事件だったのに、しっかり後片付けしてるのね……」
「普段から優輝がしっかりこなしているし、私達も家事くらいは出来るもの」
「洗濯物は……うん、仕方ないね」
家の中が散らかっていない事に、優香は感心する。
家事や後片付けは、三人でしっかり分担していたからだ。
ちなみに、洗濯物は干しっぱなしで酷い事になってしまっていた。
「しばらくの間、食事の内容が寂しくなるわね……」
「まだ店も再開していない所が多いものね」
椿と優香がそんな会話をする。
海鳴市が無事な分、他の地域の支援のしわ寄せが来ている。
そのため、結局全国ほぼ全ての地域の機能が一部麻痺していた。
学校なども、まだ休校になったままだ。
「仕方ない。山菜とかを採ってくるわ。優香と光輝、貴方達には家の事を任せるわよ」
「わかったわ。任せて頂戴」
「すまないな。プリエールの山菜なら分かるんだが……」
「普段から山や植物に関わっていないと分からないもの。仕方ないわ」
家の事を二人に任せ、椿は優輝と葵を連れて八束神社がある国守山に向かった。
「一難去ってまた一難……ね」
「そうだねー……」
八束神社に歩いていく最中、椿が漏らした言葉に葵が溜息を吐きながら同意する。
「優輝はどう見ているかしら?これからの事」
「……そうだな」
優輝に少し尋ねる椿。そこでようやく、優輝は喋った。
現在の優輝は、感情を失っている事もあって最低限の会話しかしていない。
椿と葵は、それを寂しくも思っていた。
「僕らが取れる行動はそう多くない。諦観以外
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