第6章:束の間の期間
第190話「打てる手」
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た者もいるが、神夜は順に謝っていくようにしていた。
「―――」
「ストップや、皆。ここは私に任せといて」
面と向かっての謝罪に、何人かが感情のままに動こうとする。
それを、はやてが手で制して止め、代わりに前に出た。
「……一つ聞くで?それで本当に許してくれると思っとるんか?」
「そんな楽観視なんてできない。……でも、だからと言って言葉にしない訳にはいかない」
「……及第点、やな」
許してくれるとは思えない。
だが、それでも謝罪の言葉は伝えるべきだと、神夜は考えた。
それは、自分に対するケジメだと思ったからではない。
誠意を込めて謝罪をする。それが、最低限の“真摯な態度”だと考えたからだ。
「“私は”、これ以上は言わんよ。どうするかはあんた次第や。謝ってはい終わり、なんて訳がないしな。誰に、どんな対応を、とかは私の知った事やない。皆が納得するまで、しっかりやり遂げるんやで」
「……ああ……!」
はやては、それを見抜いていた。
自分自身もそこまで憎んでいないのもあり、はやてはそれで許した。
だが、他の皆も許すまで、その態度は変えないように釘を刺していた。
「無自覚だったから、なんて言い訳はしない。俺に出来る事なら、なんだってする。……俺に、償いをさせてほしい……」
「………」
罪の意識が消える訳じゃない。
憎しみがすぐに消える訳でもない。
それでも、神夜は責任を取ろうと、その言葉を発した。
「ッ……あぁっ、くそっ!悩んでも仕方ねぇ!」
少しばかりの沈黙の後、ヴィータが我慢できずにそう叫んだ。
「てめぇがそう言ったってあたし達の苛立ちは消えねぇ!……だから、てめぇはあたし達のこれからの模擬戦の相手をしろ。無理な時間にとは言わねぇし、ボロボロになったのを引きずって、とまでも言わねぇ」
ヴィータ達は収まりが着かず、神夜も償いたがっている。
それを解消するために、ヴィータはそう提案する。
「しばらくはアースラが使えねぇから……まぁ、結界内でもいいだろ。とにかく!その模擬戦であたし達は今までの怒りをてめぇにぶつける!で、てめぇはそれをちゃんと受け止めろ!それでいいな?」
「……分かった」
今、トレーニングルームに集まっている者達にとって、確かに神夜は怒りの対象だ。
しかし同時に、大切な人を助けてもらった恩人にも変わりないのだ。
だからこその複雑な想いを、模擬戦で吐き出す。
ヴォルケンリッターの中で一番感情豊かなヴィータが、葛藤して出した結論だった。
「てめぇは確かにあたし達を惑わした。……でもな、それでも助けられたのには違いねーんだよ……。その事実に、変わりはねーんだ……」
「っ…
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