泡沫の島 2話「サヤ」
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いた。
「……うっわ。もしかして泣いてます?」
「ひっく、えっ、うぇっ。あた、あたし、邪魔じゃない?足手まといじゃない…?」
「誰も邪魔だなんて思ってませんよ。というか、私的にはむしろ居て欲しいというか、いないと困るというか……。」
「う、うあぁぁぁぁぁぁぁん!」
「…あれ?悪化?」
あたし、居ても良いんだ。みんなと一緒に…この島で、ずっと…。
あたしは涙が止まるまで、ずっとユキちゃんの胸で泣き続けた。
「…………料理、冷めましたね。」
「う、うぅ。すまんです。」
「いえ、珍しいもの見れて良かったです。私料理温めなおしますんで、サヤさんは顔でも洗ってきてください。」
「うん、ありがと。」
多分あたしは今、泣き腫らしたひどい顔をしているんだろう。こんな顔をシュウ君に見られたくない。ユキちゃんの言葉に素直に従った。
灯台の裏手をちょっと行った所に川が流れている。澄んだ川で、飲用にも使用できる。あたしはそこで、ばしゃばしゃと顔を洗った。
「……ふふ、うふふふふ。」
さっきのことを思い出すと口元が緩んでしまう。やっぱユキちゃんはすごいなぁ。あたしの考えてることなんてお見通し?
欲しかった言葉。あたしには決して手に入らないと思っていた仲間。とても嬉しかった。
シュウ君、ユキちゃん、ルナちー、…まぁ一応カズも入れてやるか。
この仲間達が居れば、後はなにもいらない。
あたしはどうしようもないバカだけど、それでもいいって言ってくれた。だからあたしはもう、迷わない。
皆が示してくれる道が、あたしが進むべき道だから。どんなことにだって立ち向かっていける。
「…………ぃよし!」
洗い終わった頬を叩いて気合を入れる。
あたしなんかがうじうじ悩んだって仕方がない。そーいうのはシュウ君やユキちゃんみたいな頭のいい人に任せよう。
あたしができるのは、明るくいること。ユキちゃんが必要としてくれたこと。
だから、あたしは常に明るくいよう。みんなに少しでも元気を分けてあげられる様に。
あたしは新たな決意を胸に、仲間の集う灯台へと急いだ。
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