聖夜にシャンパンで乾杯を・2
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「ねぇねぇ、シャポンは用意してないの?」
仄かに酔ってきたのか、頬を赤らめたリシュリューが聞いてきた。
「あ?用意してねぇよ、そんな高いモン。フライドチキンならあるけどな」
「なんでよ!ノエルのご馳走っていったらシャポンでしょ!?」
「あの、店長?シャポンって一体なんですか?先程からのお話を聞いていると、鳥のようですけど……」
「あぁ、シャポンってのは雄鳥……つまりは雄の鶏だ。しかも、去勢した雄鳥な」
フランスだとクリスマスのご馳走用に育てている養鶏場が多いらしい。
「な、なんでわざわざ去勢するんです?」
「あ〜、タマが付いてると肉に臭みが付く上に肉が固くなるらしい。男性ホルモンの影響らしくてな、だが去勢したとしてもオスはオスだから身体の発育もいいし、肉質も柔らかくなったりで良いことだらけらしいぞ?」
日本でも、食肉として出荷される家畜の雄のほとんどは去勢されたオカマらしい。知り合いの養豚業者だと、生まれて2〜3日経ったら仔豚の去勢をするらしい。種類は違えど同じ男としてちょっと同情しちゃうぜ、俺ぁ。
「でも、クリスマスのご馳走といえば七面鳥だって聞いた事が……」
あ〜、七面鳥か。鎮守府のパーティだと気にする奴がいるからそもそも料理として出す候補から外してたんだが……
「あれ、あんまり美味くねぇんだよな」
「え、そうなんですか?」
「伝統的に食ってる、ってのが正直なトコだと思うぞ?フランスのクリスマスにゃあ腹の中に皮剥いた栗を詰めて丸焼きにするのが定番らしいが、肉は鶏よりもパサパサしてるし、詰められた栗もパサパサで口の中の水分持ってかれるわ、肉より栗の方が量が多いから腹に溜まるわで、知り合いのフランス人は『アレのせいで栗が嫌いになった』とぼやいてたからな」
まぁ、そのフランス人は和菓子屋の娘さんと結婚して和菓子にドはまり、また栗が好物になった……なんてゲロ甘い後日談がセットになってるんだが。
話が逸れた。
「そんなワケで、七面鳥なんか食べるよりはフライドチキンでもかじってる方がマシなのよ……ハヤシモ、お代わり」
『ブルー・シャンパン』のグラスを空けたリシュリューが、ずいっとグラスを突き出してくる。 結構な数の杯を重ねているが、まだまだ序の口といった様子だ。
「はい……何にしましょう?」
「そうね……サッパリしたカクテルだったから、少し甘味の強いカクテルが良いわ」
「了解です」
早霜はふっ、と微笑むとフルート型のシャンパングラスにグレナデンシロップをティースプーン1杯垂らす。そこに出てきたのは不〇家のピーチネクター。それを10ml加え、2つを軽くステアする。よく混ざったのを確認したら、仕上げにシャンパンでビルド。
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