変革のラストナイト
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さりしながら、本能的に腰に携えたクルセイダーを引き抜き、魔力弾を発射した。だが正確な狙いをつけてないそれは、アルビオンに向かって飛んでいきはするものの、ただ立っているだけの彼に一発も当たることは無かった。幽霊に攻撃しても当たらないように、この抵抗は何の意味も無いと、お前の力はその程度だとわざわざ知らしめるように、彼は不動の表情のままこちらを見下ろしていた。
大量の血が無くなって体温が維持できず、手足が雪に覆われたように冷えて銃どころか、腕を持ち上げる力さえ失った。そんな無力な私のすぐ目の前にいるアルビオンは、ついさっきとは違って非常に大きく、得体のしれない怪物のように恐ろしく見えた。アルビオンの影がちょうど私の全身を覆うまで伸びてきているが、まさにそれは今の恐怖に飲まれた私の心そのものだった。
――――――ピシッ。
この瞬間、私の中で何かが壊れた。
もう……ええか。
もうどうしようもない、ここで私は死ぬ。この身に全ての報復を受ける、無慈悲に。嫌だと思ってはいるけど、この状況を覆すことは不可能や。そうして眼前に迫る死に対し、私は目を閉じて……諦めて全滅を受け入れようとした。
『夜明けの道を走り出せ、宇宙の果てまで飛び立とう! いつか闇を追い越し、光を飛び越す魂の飛翔。野原を駆け抜ける疾風、それは皆を導く羅針盤♪』
歌……?
歌が聞こえる……でも誰が……どこから……?
『私ならまだ諦めないね、例え数秒後に死ぬとしても』
この声、マキナちゃん……?
『八神、あんたはここで諦めるの? 最後まで諦めるなってサバタ様の言いつけをもう破るわけ?』
む……なんか癪やな、その言い方。でもな……私かて本当は、こんな所で諦めたくない、諦めたくないわ。せやけどこれは……。
『気持ちだけじゃどうしようもない? そりゃあ実力差が明白な上に相性最悪な相手に無謀にも挑んだから、案の定徹底的に打ちのめされるんだよ。大体さ……負けるとわかってたのになんで戦い挑んでるの?』
そんなん、家族を守るために決まっとるやん。ちゅうかこのマキナちゃんは私の右眼に宿った思念みたいなもんなんやろ? なら訊かんでも全部わかっとるやろ。
『わかってるから、改めて訊いてるんだ。元々これは戦い以外で解決する方法もあったんだよ』
え、戦わなくても……良かったん……?
『あのね、“諦めない”って言葉は“我が儘を通す”って意味じゃないんだよ。なにせ今回の発端は贖罪の手順を間違えたことだ。そのせいで報復心が一気に膨れあがり、怒った被害者達は妨害を始めるようになった。つまり最初にヘマしたのは、八神の方だってことは把握してるね?』
う、うん。でも仕方ないやろ? なのはちゃんのこととか、ヴァラン
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