第76話
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ユウナはジト目で見つめ、初老の男の正体がわかったクルトは真剣な表情で男を見つめた。
「ほう…………?そちらの君達も見覚えがあるな?今年の年始のパーティーで見かけた…………たしか”灰色の騎士”と聖竜の姫君”だったか。」
「リィン・シュバルツァーです。現在、士官学院の教官をしていまして。」
「セレーネ・L・アルフヘイムです。リィン様と同じく士官学院の教官をしている身でして。こちらはトールズ第U分校のわたくし達が担当している生徒達です。」
初老の男に視線を向けられたリィンとセレーネはそれぞれ軽く自己紹介をした。
「ふぅむ…………小耳に挟んだことはあるな。…………ああ、ウォレスに投げたアレか。ワシがフォートガード州を暫定統括するヴィルヘルム。バラッドという。まあ、”暫定”というのは近日中に無くなる予定じゃがな。ワッハッハッハッ!」
堂々と自分が次期エレボニア側のカイエン公爵であることを口にした初老の男――――バラッド侯爵にリィン達は冷や汗をかいて表情を引き攣らせた。
「聞いたところ、リィン君は”七日戦役”の和解条約でアルフィン皇女殿下を娶ったとか。まあ、機会があればワシも色々と相談に乗ってやろう!下級貴族の出ならば、ユーゲント皇帝陛下の義理の息子となった上将来”公爵”になる事が約束されているリィン君にとっては、宮中での作法などには苦労するだろうからな!」
「…………恐縮です。」
バラッド侯爵の言葉にリィンが謙遜した様子で答えるとバラッド侯爵は護衛の兵達と共にその場から去って行った。
「な、な、な…………なんなのよ、あのオジサン!」
「…………不躾かつ無礼ですね。」
「バラッド侯…………新海都でも名前は聞いただろう?内戦で討伐された前カイエン公爵の叔父君で…………エレボニアの”次期カイエン公”と言われている。」
「え”。あ、あんなヒトがエレボニア最大の貴族に…………!?しかも前カイエン公爵の叔父って事はユーディット皇妃陛下とキュアさんの親戚にもなるって事じゃない…………!?」
「フフ、あくまで”最有力候補”らしいですけど。ご存じのように討伐された前カイエン公のお子さんの内長男のナーシェン卿は”七日戦役”時に戦死し、メンフィル帝国軍に投降して”七日戦役”や内戦が終結しても生き残る事ができた姉妹―――ユーディット皇妃陛下とキュア公女殿下はクロスベル帝国に帰属した事もありまして。」
「クク、麗しの新海都の未来もずいぶんと明るいじゃねえか。」
「えっと………”最有力候補”って事は他にもエレボニア側のカイエン公爵になる事ができる”候補”の人はいるの?」
ミュゼの話を聞いたアッシュが皮肉を口にした後ある事が気になったゲルドは不思議そうな表情で訊ねた。
「ああ、一応いることは
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