第三十七幕:未来を写す虹?
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特に具体的な場所は決めておらず、七夏ちゃんが気になったお店があったら寄ってみるという事にしている。
時崎「七夏ちゃん、寄りたいお店があったら話してよ」
七夏「はい☆ 柚樹さんもあったらどうぞです☆」
時崎「ああ」
小さな商店街から駅前の商店街へと歩いてゆく途中で、自動車を洗っている人が目に留まる。噴水のように広がるシャワーの水・・・その中に綺麗な虹が現れていた。
七夏「あっ!」
七夏ちゃんもその虹に気付いたようだ。だけど七夏ちゃんには、七色の虹には見えてなく、翠碧色の虹なのかも知れない。
時崎「・・・・・」
七夏「柚樹さん!?」
時崎「え!?」
七夏「いえ、なんでもない・・・です」
時崎「そ、そう・・・」
しまった! 虹を見て、七夏ちゃんの事を考えて、難しい顔をしてしまっていた。人の心をよく見ている七夏ちゃんは、今の俺の表情を見逃す事はないだろう・・・気を付けなければ!
七夏ちゃんのお父さん、直弥さんは色覚特性が多くの人と異なる。七夏ちゃんの虹の見え方も、その事が影響しているのかも知れない。
<<凪咲「七夏が生まれてきてくれて、私もそうですけど、ナオ・・・主人は、とても喜んだわ。女の子なら、主人が抱えている目の特性も、現れる確率がとても低くなるから」>>
以前、凪咲さんが話してくれた。女の子なら色覚特性が現れる確率は1/500くらいだと・・・。だけど、俺は七夏ちゃんの虹の見え方については、直弥さんと凪咲さんを受け継いでいる証であり、それが七夏ちゃんなのだと思う。
サッカーボールが七夏ちゃんの歩く前に転がってきた。そのボールを追いかけてきた小さな男の子に、七夏ちゃんはボールを手渡した。
男の子「ありがとぉ! お姉ちゃん!」
七夏「はい☆ どういたしまして☆」
男の子「手で持っちゃダメだよ!」
七夏「え!? あっ、でもボールがお外に出た場合は、えっと・・・」
男の子「スローイン!」
七夏「はい☆ 道路は危ないから気をつけて☆」
男の子「はぁーい」
その様子を一枚切り取りながら、七夏ちゃんは、凪咲さんのように優しいお母さんになるだろうと思った。
時崎「七夏ちゃん、優しいお母さんみたいだね!」
七夏「え!?」
俺は、七夏ちゃんに「可愛い」とは言わない方法で喜んでもらいたくて、つい思った事を話してしまった。
時崎「あっ、えっと・・・」
七夏「くすっ☆ 柚樹さん。もし、私が子供を授かったら・・・」
時崎「えっ!?」
七夏ちゃんの言葉にドキッとする。これは、この先、七夏ちゃんと同じ未来を歩む事を想像してしまうから・・・。
七夏「私・・・もし、子供を授かったら、その子は辛い思いをするかも・・・って」
辛い思い・・・それは、きっと七夏ちゃん
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