第八十六話 票田その五
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「そうした感じの言葉もあったか」
「そりゃまた物騒な言葉だな」
「確かロシアの言葉だ」
「あの国か」
「あの国のことをフランス人が言った」
そうした言葉だというのだ。
「かく言うフランスも色々あったがな」
「ロシアだけじゃなくてか」
「とにかく暗殺が有効な手段であることは事実だな」
このことは間違いないというのだ。
「やはりな」
「そうなんだな」
「そうだ、それでだ」
正は久志にさらに話した。
「今度の黒幕も誰かわからないが」
「俺が邪魔で一時でもか」
「何とかしようと考えている」
「成程な、じゃあな」
「わかるな」
「ああ、用心しておいてな」
そしてとだ、久志は正に不敵な笑みで答えた。
「そしてな」
「若し来ればな」
「その時はねじ伏せて捕まえてやるさ」
「そうしろ、しかし御前は捕まえて尋問もな」
「拷問は、だよな」
「しようと言わないな。俺達全員そうだが」
「だってよ、こっちの世界自白の薬もあるだろ」
だからだというのだ。
「それでだよ」
「そうしたものは使わないでか」
「ああ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「自白剤、まあこの世界でも秘伝だけれどな」
「それを使ってか」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「自白させれば済むしな」
「拷問はさせないか」
「もっと言えばな」
「拷問は嫌いだな」
「ああ、何かそういうのってな」
どうにもという顔になってだった、久志は正に答えた。
「どうしてもな」
「好きになれなくてか」
「しないんだよ」
「そうなんだな」
「それは御前もだろ」
「相手を無闇に痛めつける趣味はない」
正もこう言った。
「俺にはな」
「だからだよな」
「御前が自白剤を使うことに反対していない」
「だよな、それじゃあな」
「これからもか」
「拷問は使わないでな」
自白剤、これを使ってというのだ。
「やっていくな」
「そうか」
「ああ、それとな」
久志はさらに話した。
「あの自白剤秘伝だけれどな」
「効き目が凄いな」
「よくあんなのあったな」
「こちらの世界の医学と薬学、そして魔術と錬金術が合わさってだ」
「そうして出て来たんだったよな」
「それがだ」
まさにというのだ。
「あれだけのものということだ」
「成程な」
「そしてだ」
正はさらに話した。
「後遺症もない」
「そこもいいよな」
「高いが自白させたいならな」
「あれが一番だよな」
「そうなる、ではな」
「ああ、これからもな」
「あれを使ってだな」
「やっていくな」
久志は正に明るい顔で答えた。
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