第八十六話 票田その一
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第八十六話 票田
久志はこの時街の有力者の一人であるローマに古くからある貴族の屋敷に入っていた、そうしてその貴族と話をしていた。
その貴族は伯爵の爵位を持ち品のいい服装と物腰が印象的な老貴族だった。白い髪をロココ調に左右にカールをさせており青い目には確かな知性と品格がある。
その貴族が久志の政策を聞いて言った。
「つまり我々の権利はそのままに」
「既得権益ってやつですね」
久志はやや砕けていながらも敬意を払った口調で答えた。
「それは保証します、ですが」
「平民階級にもですか」
「権益を与える、しかも」
「その待遇もですか」
「保証します、例えばです」
久志は自分の向かい側の席に座る老貴族に話した、黒檀のテーブルを挟んで二人で話をしているのだ。
「そちらの使用人への報酬と働く時間」
「それに待遇ですね」
「まともな生活が出来て虐待はしない」
「そうした政策もですか」
「法律で定めます」
「当家は使用人達への待遇には気を使っていますが」
「全部の家がそうではないですよね」
久志は自分の家のことを話した老貴族に即座に返した。
「中には酷い家そして工房や店もありますね」
「そうした家等に対する法律ですか」
「はい、勿論これに違反したなら」
その時はとだ、久志は自分が定めるつもりの法のことについてさらに話した。
「やっぱりあれですね」
「処罰ですね」
「そちらの法律も用意しますので」
「つまり絵に描いた餅ではなく」
「本当にしますよ、それで仕事を保証して集まって話をしたり会合を開くことも」
「いいとですか」
「この街にはそうした法律で定められてませんしね」
禁じられてもいない、だが法律で認められていないからだというのだ。
「ですから」
「そうしたことも定めますか」
「はい、貴族はそのままで」
「平民達の底上げを行う」
「それが俺の考えで政索です、あと政治と宗教ですが」
この両者の関係についてもだ、久志はどうするのかを話した。
「分けます」
「その両者をですか」
「政治は政治で」
「宗教は宗教ですか」
「そうしていきます」
「バチカンがありますが」
老貴族はあえてこの名前を出した。
「あちらは」
「はい、そちらにもです」
「介入はさせない」
「政治は政治です」
あくまでそのスタンスを貫くというのだ。
「国教も定めません」
「絶対にですね」
「若し定めますとその宗教が絶対になり」
そうしてとだ、久志は老貴族に宗教政策についての持論を述べた。
「他宗教を圧迫する、若しバチカン即ちカトリックが国教になれば」
「ギリシアや北欧の神々への信仰が圧迫され」
「キリスト教の他の宗派もです」
こちらもというの
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