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魔術師ルー&ヴィー
第二章
Prologue
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を引き攣らせ、今度はそのまま言った。
「お約束はお有りでしょうか?」
「んなもんねぇよ。宿のギルクリフトに聞いて来たんだっての。」
 ルーファスのこの物言いに、女性は顔をより引き攣らせた。
「お約束がない場合、ギルド長への面会は出来ません。明後日ならお時間も取れるとは思いますが…。」
「はぁ?こっちは仕事の依頼が出されてるから来たってのに、明後日来いだと?」
「仕事依頼でのご要件でしでも、お約束無しでの面会は許可されておりません。どうぞお引き取りを!」
 女性は最早引き攣るを通り越し、ルーファスを睨みつけて返した。まぁ…ここまでの遣り取りで、そこにいた人々は追い返されて当たり前だとは思ったが、後ろで様子を窺っていたヴィルベルトには、彼女の表情から何か違う違和感を感じていた。
 何と言うか…直ぐにでも帰ってほしい…もっといえば、関わるな…そんな風に見えたのだ。
 だが、ヴィルベルトがそれを師へ言おうとした時、廊下の奥から男性が現れ、ルーファスを睨み付けている女性へと言った。
「アリア、そのお二方をお通ししろ。」
「ギルド長!しかしこの後…」
「良いから、直ぐにお通ししろ。」
 そう言われた女性…アリアは、渋い顔をしてルーファスとヴィルベルトに視線を返して言った。
「では、こちらへ。」
 気に入らないと言わんばかりではあるが、ルーファスは兎も角、ヴィルベルトは申し訳無いと感じていた。
「師匠…あれはないんじゃないですか?」
「何でだよ。」
「だってここ…正式な商業ギルドですよ?それもギルド長はそれを纏め上げるトップの方なんですから、普通は約束無しじゃ面会出来ないじゃないですか。」
「んなこたぁ分かってるっつぅの!ギルがこう言や分かるっつってたからよ…。」
 そう言っている間に、二人は奥の部屋へと案内された。どうやらギルド長の執務室の様で、応接室も兼ねている様である。
 ノックしてアリアが扉を開けると、目の前に山の様な書類が置かれた机が目を引いた。そこで主が仕事をしているのだろう。その手前にはソファーと長机が置かれ、アリアはそこまで二人を連れて入り、そのまま「失礼します。」と言って部屋を出て行ったのであった。
 その時も、ヴィルベルトは彼女の表情が気にはなったが、師の無礼な態度に怒っているのだと思い、以後気にすることは無かった。
「お二方、私がギルド長のマグナスタだ。ギルクリフトの紹介で来たのだね?」
 書類の山の中から、ニュっと男性が立ち上がって言ったため、ルーファスは「そうだ。」と答えると、男性は二人にソファーを勧めて座らせ、自身も正面へと腰を下ろした。
 その頃合いを見計らってか扉がノックされ、そこから給仕の女性が入って来て、三人の前にお茶が置かれた。
 女性は真ん中へ茶菓子を置くと、一つ頭を下げて部屋を出
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