機動戦士ガンダム
2277話
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一体、どういう事ですか!? もしかして、ジオン軍と何か取引でもしたって言うんですか!?」
軍人の一人が叫ぶと、他の者達もそれに同意するように頷く。
だが、ブライトはそんな視線を向けられても決して怯むことはないまま、首を横に振る。
そんなブライトを見て、俺は感心する。
士官候補生だという事で甘く見ていたのだが、実際にはこうして見る限り、大勢から向けられる、自分に対する疑惑の視線を真っ向から受け止めている。
それは、ブライトに艦長としての才能が……そして、人を纏め上げるだけの才能と胆力があるという事を意味していた。
「違う。……以前はしっかりと把握出来ていなかったが、ルナツーに攻撃を仕掛けていたのは、ジオン軍ではなく、月だ」
「月って……ルナ・ジオン軍!?」
ブライトの言葉に、ジオン軍と取引をしたのかといった風に叫んだ軍人は一瞬驚くが、それで終わる。
てっきりもっと驚かれると思ったんだが……やっぱり普通の連邦軍の軍人にとっても、あの演説はやりすぎだと思ったのだろう。
他に騒いでいた者も、不思議に納得したような表情を浮かべ……それを見ていたブライトは、やがて口を開く。
「そのような訳で、ルナツーを占拠したルナ・ジオン軍から通信があった。ホワイトベースがルナツーに来るのなら、それも良し。もしくは、来ないのなら追撃を仕掛けるような真似もしない。だが、ジオン軍……シャアとの戦いにおいて、助力をするような事はない、と」
そう告げるブライトの言葉に、再び軍人達はざわめくのだった。
どうやら、取りあえずルナツーはルナ・ジオン軍の手によって占拠出来たらしいと知り、俺は安堵する。
出来れば、ルナ・ジオン軍の被害は少ないといいんだが。
そう、思いつつ。
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