第三章 盟約の系譜
Lv65 新たな導き
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ベッドには、威厳ある顔付きをした初老の男がおり、今は半身を起こし、こちらへと視線を向けているところであった。
勿論、見覚えがある御方だ。アヴェル王子の父君であるイシュマリア王・アズラムド陛下である。
(といっても、向こうは覚えていないだろうが……)
まぁそれはさておき、俺達が室内に入ったところで、アズラムド陛下がヴァロムさんに語り掛ける。
「ヴァロムよ、この者が?」
「左様でございます、陛下」
「そうか……」
扉を閉めたところで、アヴェル王子が俺に耳打ちする。
「コータローさん、私達と共に父の前へ」
俺はアヴェル王子に続いて、ベッドの前へと移動した。
そこでアヴェル王子とウォーレンさんが跪く。
俺もそれに倣い跪いた。
「父上、遅れまして申し訳ございません。先だって申し上げました、コータロー殿をお連れ致しました」
アヴェル王子は俺に目配せをする。
挨拶をしろという事だろう。
少し緊張したが、とりあえず、粗相のないように挨拶をする事にした。
「お目に掛かれ光栄でございます、アズラムド陛下。我が名はコータローと申します。そちらにおられるヴァロム様に師事を仰ぐ者にございます。本来ならば、もう少し早く、ご挨拶に伺うべきところでしたが、先の戦いでの負傷で、それが叶いませんでした事をまずは深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」
アズラムド陛下は居ずまいを正し、静かに口を開いた。
「我が名はアズラムド・ヴァラール・アレイス・オウン・イシュマリア。第50代イシュマリア王である。コータロー殿……礼を言うのはこちらの方だ。此度はイシュマリアを魔物達から救って頂き、感謝申し上げる。ここにいる者達から、貴殿の武勇は聞いておる。貴殿の活躍により、この国は魔物達の脅威から守ることができたのだ。貴殿への礼は皆の前でしたいと思っているが、今はこの通り、私も病に臥せっておる身。今日のところは、このような形の礼でご勘弁願えるであろうか」
「私のような者に勿体無いお言葉であります。陛下もお身体を大事になさってください」
「ありがとう、コータロー殿。さ、面を上げ、そちらの空いている椅子に掛けられよ。アヴェル達も空いている椅子に掛けるがよい」
俺達はその言葉に従い、空いている椅子に腰かけた。
そこでアズラムド陛下は皆の顔を見回し、話を切り出したのである。
「さて……これで全員揃ったようだな。では、極秘会談を始めるとしよう……ヴァロムよ、ラー殿を出してもらえるであろうか」
「では」
ヴァロムさんは頷き、ラーの鏡を皆の前に出した。
そして、限られた者だけの極秘会議が始まったのである――
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