第三章 盟約の系譜
Lv65 新たな導き
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ったのですか……それを聞いて安心しました。ピュレナに立ち寄った時に、何か良からぬ事でもしたのかと思いましたわ。でもなぜ、教えてくださらなかったのですか?」
「そうですよ、コータローさん。私達は旅の仲間じゃないですか」
「すいません、黙っておりまして……ですが、王族の方が魔物に襲われていたなんて事を軽々しく口にするのは、あまりよろしくない気がしたものですから、俺とラティだけの胸に仕舞っておくことにしたのです。な? ラティ」
「せやせや」
どうやら納得してくれたみたいだ。とりあえず一安心である。
「コータロー様、その節は本当にありがとうございました。あの時、貴方が現れなかったらと思うと、今でもゾッとする思いです。貴方のお陰で私は救われたのです。感謝の言葉しかございません」
フィオナ王女はそう言って俺に優しく微笑んだ。
俺はその微笑みを見て罪悪感を覚えた。
だが本当の理由は口が裂けても言えない為、これは仕方がない事であった。
「なんか、そこまで言われると……照れますね。ン?」
と、その時である。
部屋の外にいる騎士達は道を空けるかのように、入口の脇へと移動し、慌ただしく姿勢を整えたのである。
そして騎士達の間から、金の装飾で彩られた赤と白の衣を身に纏う王族の若者が1人と、俺の良く知る宮廷魔導師が1人、姿を現したのであった。
現れたのは勿論、アヴェル王子とウォーレンさんだ。
「コータローさん、目を覚まされたのですね。お身体の方は大丈夫……そうですね」
アヴェル王子はキョトンとしながら、俺の足元から顔へと視線を送った。
少し驚いてる感じだ。
ウォーレンさんも同様であった。
「お、お前……もう立ち上がっても大丈夫なのか? 結構、酷い出血だったのに……」
よく考えたら、俺は今、地に足を着けて立っている状態である。
ここから察するに、恐らく2人は、ベッドで寝ている姿を想定していたのだろう。
まぁそれはさておき、2人には挨拶をしておかねばなるまい。
「おはようございます、アヴェル王子にウォーレンさん。お陰様で、身体の調子はかなり回復しました」
俺はそう言ってガッツポーズを見せた。
2人はホッと息を吐き、安堵の表情を浮かべる。
「それはよかったです。あの後、全然目を覚まさなかったので、心配していたんですよ」
「まぁでも、その様子だと、確かに調子は良さそうだな」
「ええ、調子はいいですよ……ン?」
すると、2人はそこで顔を見合わせ、神妙な面持ちになったのである。
アヴェル王子は申し訳なさそうに口を開いた。
「コータローさん……こんな時に、こんな話をするのは心苦しいですが、もしお身体が大丈夫であれば……我々と共に、少し御足労願えませんでしょうか?」
王子のこの表情を見る限り、何か面倒
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