第三章 盟約の系譜
Lv65 新たな導き
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転した。が、しかし、俺はラティのしっぽを掴み、それを阻止したのである。
「ちょっ、コータロー、なにすんねん」
俺は窓の外を眺めたまま、小声で警告した。
「敵前逃亡は許さんぞ、隊長……あとで軍法会議にかける」
「なんやねん、その軍法会議って!?」
と、そこで、しびれを切らしたアーシャさんが、俺達の会話に割って入ってきたのである。
「何をコソコソしてるんですの、コータローさんにラティさん! 早く説明していただけませんか!」
俺はラティに小さく囁いた。
「適当に話を合わせろ」
そして、俺は彼女達に振り返り、爽やかな笑顔を浮かべながら、この非常事態を切り抜ける為の交渉へと入ったのである。
「いやぁ〜、実はですね。ピュレナでラティから相談を受けていた時に女性の悲鳴が聞こえたものですから、ちょっと心配になって神殿の方へと向かったのですよ。な? ラティ」
「あ! せやせや、ワイも今思い出したわ。実はそうなんや、アーシャねぇちゃん。あの時、叫び声が聞こえたさかい、コータローと一緒に神殿に向かったんやわ」
だがアーシャさんは追及の手を緩めなかった。
「あら、そうでしたの。でも妙ですわね……ピュレナの神殿は、冒険者がおいそれと入れるような場所ではないと聞いた事がありますわ。ましてや、沐浴の泉ともなれば、男性の神官でも入れないと聞いた事がありますわよ。どうやってそこに入られたのかしら?」
痛い所を突いてきたが、この程度の事は想定の範囲内。
というわけで、俺は御託を並べ続けた。
「仰る通りです。あの神殿は俺達のような者が入れるような所ではございません。ですが、ラティの機転によって、意外な場所から侵入……じゃなかった、敷地内に入る事が出来たのです」
「ラティさん、それは本当ですか?」
「コータローの言ってることは本当やで、アーシャねぇちゃん。ワイが入れそうな場所を何とか見つけたんや。とはいっても、コータローじゃないと行けん場所やったけどな」
サナちゃんが訊いてくる。
「コータローさんじゃないと行けない所? それはどういう意味ですか?」
「それは勿論、飛べない奴には無理な場所やからや。せやから、普通の冒険者じゃまず無理なんやけど、コータローなら魔導の手を使えるから、なんとか行けそうな場所やったんやわ」
アーシャさんとサナちゃんは俺に視線を向ける。
「ラティの言っている事は本当ですよ。まぁそういうわけで、少し苦労はしましたが、なんとか神殿の敷地内に辿り着いた俺達は、悲鳴があった場所へと急いで向かったわけです。それで駆けつけましたら、フィオナ王女が魔物に襲われておりましたので、俺は急いで救出したというわけです……まぁこれが大まかな流れですかね」
アーシャさんとサナちゃんはそこで表情を緩ませ、ホッと一息吐いた。
「そうだ
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