101部分:第九話 全てを壊されその十
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蘇る。いつも優しい笑顔を向けて愛情で包んでくれた。遠足や運動会の時のお弁当も授業参観の時に来てくれたことも。家で勉強している時にも励ましの言葉をかけてくれておやつも出してくれた。服を買ってくれて怪我をしたらすぐに手当てをしてくれた。そんな母だった。
しかしその母がだ。今こう言ったのだ。如月の中で母との思い出が全て割れてしまったのだった。
「そんなことって・・・・・・」
「私達は関係ないわ。知らないわよ」
「知らない筈があるか!」
「生んだのはあんただ!」
「あんた以外に誰がいるんだ!」
「いえいえ、皆さん」
岩清水はここで再び動いた。
「今はそれよりもです」
「悪をですか」
「それを」
「はい、悪の全てを壊す方が先です」
こう話して彼等の矛先を他に向けさせるのだった。
「そちらに」
「わかりました。それじゃあ」
「家の中に入って」
「それで」
「全てをです」
こう言うのであった。
「いいですね」
「よし、行きましょう!」
「それじゃあ今から」
「絶対に許すか!」
彼等は家の中に雪崩れ込みだった。そして中から凄まじい音を出させていた。それが暫く続いてだ。彼等は誇らしげにそこから出て来た。
「よし、今日はこれ位でいいですよね」
「そうですよね、岩清水さん」
「これで」
「他にも三人います」
岩清水は如月だけを見ているのではなかった。他の三人もであった。
「ですから」
「よし、次はそっちだ!」
「そっちに行くぞ!」
「悪はまだいるんだ!」
「悪は逃すな!見逃すな!」
「何があってもな!」
こんなことを叫びながら何処かへと消える。如月は今は取り残されていた。
しかしここでだ。糾弾や母の言葉で朦朧となっている頭にだ。不吉なものが走った。
「まさか・・・・・・」
それに捉われ慌てて家の中に入る。そうして見るとだ。
家の中は徹底的に破壊されていた。テレビも食器も何もかも。家具もあらかた破壊され特にだ。彼女の部屋は酷いものだった。
机も椅子もベッドも本棚も。何もかもが潰されていた。あちこちに糾弾する落書きがありそして。
アルバムもあの写真も全て引き出されそのうえで引き裂かれていた。そこには千切れた自分自身の笑顔と。弥生達がいた。
「そんな、そんな・・・・・・」
その目がゆっくりと滲んできて。それから。
涙が溢れてくる。もうそれを止めることができなかった。
「全部、皆なくなるなんて・・・・・・」
千切れた写真の側のアルバムは。幼稚園のものも小学校のものも中学校のものもあった。彼女のこれまでの全てが。
その何もかもが引き裂かれそうして踏み躙られていた。それを見てどうしようもなくなり。その場に崩れ落ちてしまった。
そのまま泣き崩れる。後ろから母が自分
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