暁 〜小説投稿サイト〜
許されない罪、救われる心
101部分:第九話 全てを壊されその十
[1/3]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話

第九話 全てを壊されその十

「相手が死ねばそれで終わりでしょうか」
「いや、終わっては駄目でしょう」
「そうですよ」
「それは駄目ですよね」
「それで終わったら」
「はい、そうです」
 また同志達の言葉に頷いてであった。
「ですからここは」
「ここは」
「どうされますか」
「死んでも許してはなりません」
 厳然たる裁きの言葉だった。
「そう、死んでも屍を晒し墓を攻撃しましょう」
「そしてその死んだ姿をですね」
「ネットに流して」
「そうです、罪は絶対に消えないのです」
 また言う岩清水だった。
「ですから。いいですね」
「はい、わかりました」
「それでは」
「殺してはなりません」
 法律に基づく言葉ではなかった。断じてだ。
「死んでからも糾弾しましょう」
「そうだ、死んでも許すか!」
「何があっても許さないからな!」
「死んでそれで逃げられると思うな!」
「ずっとやってやる!」
「そんな、死んでもって・・・・・・」
 如月は彼等の言葉に絶望するしかなかった。そしてだった。
 岩清水はだ。ここでも同志達に話した。
「では皆さん」
「はい」
「今度は何をしますか?」
「悪はその全てを許してはなりません」
 自分自身を善、そして如月を悪と置いての言葉に他ならなかった。
「ですからここはです」
「はい、ここは」
「どうされますか」
「この家の中に入りそのうえで悪の全てを破壊しましょう」
 そうするというのであった。
「今から。いいですね」
「はい、それでは」
「今から」
「さあ、行きましょう!」
 同志達にここぞとばかりに声をかけた。
「そして悪を!」
「悪を許すな!」
「全てを壊してやれ!」
「何もかもだ!」
 如月を取り囲むのを止めてだ。彼等は家に雪崩れ込んだ。
 ここで母が戻って来た。それで慌てて彼等を止めようとする。
「あの、何ですか貴方達は」
「いじめっ子の母親です」
 岩清水はここでその彼女を指し示して同志達に話した。
「悪を生んだ存在です」
「御前の教育が悪いからだ!」
「それでこうなったんだぞ!」
「悪いと思わないのか!」
「責任を取れ!」
「そんな、あんなの娘じゃないわよ」
 ここでだった。母は忌々しげに言い捨てた。
「あの娘のせいで家族も酷いことになってるのに。あんなの娘の筈がないじゃない」
「そんな・・・・・・」
 母の今の言葉にだ。如月はまた絶望に襲われた。
「お母さん・・・・・・」
「私は知らないわよ、あんなの娘じゃないわよ」
「娘じゃない。私が・・・・・・」
 これには愕然となってしまった。ようやく立ち上がったその時にだった。母が自分を指差してこう彼等に言い捨てたのである。
 幼い頃からの記憶が
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ