■■SAO編 主人公:マルバ■■
二人は出会い、そして◆違うよって言わなきゃいけないのに
第二十三話 葵
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、それはマルバさんが必死で助けた命を粗末にしたことだけ!!謝るなら、蔑ろにした自分自身に謝れえッ!!!マルバさんが助けた葵さんに失礼だあッ!!!!」
シリカは叫びながらアイリアを平手で何度も打つ。その度にアイリアのHPががくんがくんと減り、ついにそのゲージが黄色く染まった。最後に一撃、と振り上げた右手は……しかし、振り下ろされることはなかった。
アイリアはシリカの腕を掴んで、震える声で謝った。
「ごめん、なさい……!」
「……それは、何に対する謝罪ですか?」
「……ずっと傷つけていたお兄ちゃんに。私のために怒ってくれたシリカさんに。……助からなければよかったなんて言った自分自身に。本当に、ごめんなさい……!!」
シリカは振り上げた手をゆっくりと下ろし、その腕を掴んでいた手を振りほどくと両手で包み込んだ。
「……圏外だっていうのに本気で殴っちゃって、ごめんなさい。怖かったですよね。でも、こうでもしないとあたしの気が収まらなかったんです。」
「……ううん。シリカさんは私のために怒ってくれたんだから。オレンジカーソルにさせちゃってごめんね。」
アイリアは今度こそしっかりと立ち上がった。その目には後悔が見て取れるが、迷いはない。
「私、お兄ちゃんに謝ってくる。今度こそ謝ることを間違えないよ。」
「そうですね、それがいいと思います。……頑張ってください!」
「うん!」
アイリアは洞窟を駆け出していった。シリカはそれを見送ると、先に宿屋に向かうことにした。オレンジカーソルとなってしまったシリカは町中だというのにハイディングを駆使しなければならなかった。
「マルバ!」
「……ミズキ、か。僕を追って来たの?」
マルバは丘の上に座り込んでいた。ミズキはマルバの横に腰掛ける。飛んできたフウカはミズキの肩の上の定位置に止まった。フウカの羽からこぼれた光に、マルバはまぶしそうに目を細める。
「当たり前だろ、いきなり走ってくなんてどうしたんだよ。それにあいつ、お前のことお兄ちゃんって呼んだよな?どういうことだ?」
「……ちょっと聞いてくれないかな。僕もちょっとどうしたらいいか分からなくなっちゃってさ。」
マルバはぽつりぽつりと話し始めた。事故のこと、後遺症のこと、葵のこと、逃げ出したこと。
「絶対今度こそ葵のせいじゃないって言おうって思ってたのにな。あいつの目を見たら怖くなっちゃってさ。あいつがもし『私のせいでお兄ちゃんが事故に遭った』とか『こんなことなら助からなければよかった』なんて言い出したら、僕は一体どうすればいいのか分からないから。」
「……ふふ、なるほどな。いやー、若いっていいねえ!!」
「……なにその感想。ミズキだって僕と年ほとんど違わないでしょ。それにそういう問題じゃないし」
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