第6章:束の間の期間
第189話「見えない脅威」
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いた。
でも、その裏でお兄ちゃんは大きな代償を支払っていたのだ。
……その事に気付けていなかったのが、恥ずかしい。そして、悔しかった。
「……でも、どうして感情なのかな?」
「え……?」
「普通、代償っていうのは生贄みたいなの以外は互換性があるんだよ。分かりやすいので言えば、体を酷使すると、その酷使した部分が痛くなったりね」
筋肉痛とか、そういうものに近いのだろう。
確かに、とこよさんの言う通り、互換性はない。
「生贄以外は……」
「……そっか。考えてみれば、そうなるね」
でもそれは、生贄以外の話。
つまり、お兄ちゃんは生贄のように、感情を犠牲にしたのだ。
同じように、私も片腕を犠牲にして大魔法を使っていたからね。
あれも互換性はないけど、生贄のように片腕を代償としていた。
「でも、それでも感情を犠牲にするなんて……」
「……お兄ちゃん……!」
心苦しさで、涙が出てくる。
そんな事になるまで、お兄ちゃんは無茶し続けたんだ。
「とこよさん……!」
「……方法はあるよ。でも、誰が緋雪ちゃんの現界を維持するの?」
「ッ……!」
“現世に行きたい”。そうとこよさんに言外に伝える。
でも、その方法は厳しいと言われる。
「……方法は、あるんですね?」
「うん。式姫召喚を使えばいいんだよ。椿ちゃんと葵ちゃんを再召喚していたし、召喚するための環境は整っている。後は、緋雪ちゃんを式姫として召喚すれば終わり」
「……その維持の方法が、ない……」
式姫を使役するには、霊力の持ち主と契約する必要がある。
主がいなければ、はぐれの式姫と扱われ、霊力が枯渇すると、幽世に還ってしまう。
使い魔や守護獣と似たようなものだ。
「でも、召喚自体は出来るんですよね?じゃあ、後は誰かと……」
「こっちから召喚しても意味ないよ。向こうから召喚してもらわないと。……守護者との戦いは、本当に特例だったんだよ」
聞けば、守護者との戦いでの私は、苦肉の策のようなものだった。
幽世から現世に幽世側から召喚しているため、霊力の供給も乏しく、さらには長時間現界し続けると、それこそ均衡を崩してしまう。
だからこその、時間制限だったとの事。
「特に、今は異常事態。普通の召喚すら、無闇に試せないしね……」
「……そう、ですか……」
結局、無闇に私が現世に行く事は許されないらしい。
……まぁ、本来死人の私が行く方法があるだけ、有情なんだけどね……。
「二人共、何やってるんだい!?こっち来て流れ着いてきた奴らの世話をしないと!」
「あ、ごめん!すぐ行くよ!」
「すみません!」
紫陽さんに怒ら
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