第6章:束の間の期間
第189話「見えない脅威」
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取らせました』〉
そういって、通信を切断しました。
わかる事はほとんどありませんでしたが、それでも収穫はありました。
〈(“脅威”に関しては何も分かりませんが、優輝様に関して……)〉
関わっていれば、自ずと不可思議な事が判明してきます。
そして、先程の観測出来た“何か”については、その代表格とも言えます。
〈(優輝様……貴方は、一体……)〉
彼自身だけではありません。
彼に関わりがあるであろう、“優奈”と名乗った彼女……。
表に出ている不可思議さでは、彼女の方が上です。
〈(……完全に無警戒になるのは、悪手ですね)〉
何かがあるのは確実です。
それが良い結果に繋がるか不明なため、警戒しない訳にはいきません。
〈(尤も、今は見えない“脅威”への対策が先ですが……)〉
デバイスでありながら、次から次へと舞い込む問題に憤りすら感じます。
しかし、マスターのためにも、何かしらの対策を考えなければ……。
=緋雪side=
「……皆、凄い慌てていましたね」
「まぁ、まだ危険に晒されるかもしれないと言われればね。信じない奴はこの際どうでもいいけど」
「それはそれでどうかと思うけど……」
現世に届けていた術式を破棄した後、私達はそんな会話をしていた。
「……お兄ちゃん……」
「お兄さんが気になるの?」
「うん、ちょっとね……」
映像越しに、私はお兄ちゃんを見ていた。
最初は会釈したりしたけど、すぐに異常に気付いた。
「(……感情が……)」
「……感情を失ってたね」
「っ……!」
私が考えた事を見抜くように、とこよさんは言った。
「……気づいてたんですね」
「まぁ、色んな式姫を見てきたから、観察眼はあるよ」
「(この分だと、紫陽さんも気づいているだろうなぁ……)」
お兄ちゃんの異常。
それは感情の喪失だった。
紫陽さんが喋っている間、何度かお兄ちゃんを見たけど、明らかに感情がなかった。
いくら境界が薄くなっていた事を知っていたとしても、あんな無表情にはならない。
「……一体、どれほどの無茶を……」
いつ無茶をしたのかは、すぐに分かった。
とこよさんと……大門の守護者と戦っている時だ。
あの時、お兄ちゃんは導王流の極致に至った。
でも、それまでも無茶していたのもあって、代償として感情を……。
「………」
「緋雪ちゃん……」
悔しい思いが、胸中を駆け巡る。
お兄ちゃんが極致に至った時、私は昔の時のようにはしゃいで
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