第6章:束の間の期間
第189話「見えない脅威」
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「(……パンドラの箱は、優輝君にしか解析出来なかった。それに……パンドラの箱が境界を薄くしている原因なら、本当に人智を超えたモノになる)」
私は私で、一度情報を整理する。
「(優輝君は推測していた。記憶にはない……それこそ、いくつも前の人生で神に関わっていた可能性があると。それが原因で、自分が狙われているかもしれないと。……私は優輝君が悪いとは微塵も思わないけど……)」
優輝君を標的にしていた可能性があると露見すれば、今まで以上……いや、それこそ管理局からも疑念の目が向けられるだろう。
優輝君が元凶だと、まるで生贄のように批難の対象にすると思う。
「(……ううん、それは後回し。今は来るかもしれない“脅威”にどうするべきか。パンドラの箱は、以前のあの男と繋がりがあるかもしれない。そもそも、あの男も優輝君そっくりで、何より“造られた存在”だった。……下手人は、同じ……?)」
断片的な情報が繋がっていく。
あの男を造った存在。パンドラの箱を仕掛けた存在。
その二つが線で繋がる。恐らく同じ存在だと、推測とはいえ考えられた。
「(だとしたら、どうすればいいの……?敵は、最低でもあの男と同じ性質……つまり、普通の攻撃は一切通じない……)」
そう。あの時、あの男との戦いでは、一切攻撃が通じなかった。
存在の格が違うらしく、優輝君が反動を覚悟してようやく当てられた程だ。
「(……通じるのは、優輝君か、同じような事が出来る私だけ……)」
無理矢理望んだ効果を引き寄せた優輝君と違い、祈りを実現する私の方が、存在の格を上げる際の反動は少ないだろう。
でも、そんなのは焼け石に水。
相手は一人だと考えるのは早計だし、何より攻撃を通じるようにしたとしても、勝てるかどうかは完全に別なのだから。
「(そもそも、今回の事もその存在が誘導した事。……紫陽さんは、転移に干渉した事しか言ってなかった。でも、パンドラの箱みたいなものを仕掛けられたのだとしたら……)」
そこまで考えてさらに血の気が引く思いをする。
容易くこの世界に干渉し、状況を誘導したのだ。
……その気になれば、さらに酷い状況へと誘導されるかもしれない。
「(私達は、相手の正体を掴めていない。対して、相手側は私達を把握しているかもしれない。……うん、控え目に言って不味いよね、これ……)」
焦る思いが募る。
だけど、こういう時こそ冷静に、的確に判断して行動しないといけない。
「(相手の正体は掴めていない。なら、逆に分かっている事は……)」
分からない事は多い。
だったら、逆に分かっている事から纏めていけばいい。
「(存在の“格”が私達と違う。最低でも、神と同等以上の……。優輝君の神降し
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