第三話 剣士とビーター
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」
俺はその問いに答えることなく、彼女に背を向けた。
そしてウィンドウからパーティ解散の表示をタッチする。後ろにいるアスナの表情は見えない。
だがそれに了承してくれたのか、視界の端に見えていたアスナのHPゲージが一瞬で消えて見えなくなった。
俺はそのまま後ろを振り返ることなく第二層への扉を開け放ち、歩を進めた。
――――――――
第二層へと足を踏み入れるとそこには絶景が広がっていた。
第一層とは異なり、二層はテーブル状の岩山が端から端まで連なっている。山の上部は柔らかそうな緑の草に覆われ、牛型モンスターが闊歩している。
俺はその絶景を前にしながら、ふと後ろに気配を感じた。
「なんでいるんだ?」
「言ったはずです。私はマスターの手足となり戦う下僕だと」
「……そういえばそんなこと言ってたね…」
気配の正体はセイバーだった。彼女はいつの間にか扉を出て俺の後ろへと移動していた。
そういえば、
「ちょっと君に聞きたいことがあったんだ」
「はい、何でしょう?」
俺はセイバーに“聖杯戦争”や“サーヴァント”という単語の意味を聞こうと思い口を開いた。
だが、それを邪魔するように
“見せてもらったよ、なかなか良い闘いぶりではないか”
突然声が上から響いた。
俺はハッとし、思わず上を見上げる。
“召喚されたのが“セイバー”とはな…。最優のサーヴァントを引き当てるとはなかなか見どころのある少年だ“
俺はその声に聞き覚えがあった。あの時、俺に問いを投げてきた時と同じ声色だ。
“まさか最初のマスターが決まるのに一ヶ月の歳月が掛かるとはな、この分だと全てのサーヴァントが出る前にゲームをクリアしてしまいそうだ”
何やらその声は俺にとっては心地いいものではなかった。どこか癪に障る。
“まずは、おめでとうと君に送ろう。君が最初のマスターだ。君は晴れて“聖杯戦争”の参加者となったのだ“
「だから、その聖杯戦争ってのは何なんだ?」
俺は思わず声をあげる。セイバーから聞かされた殺し合いという説明ではまだ納得がいかない。
“……そうだな、君が疑問に思うのも、もっともであろう。だがここで説明するには場所が場所だ。望むのであれば第一層「はじまりの街」の西にある教会に来るといい。そこで詳しく君に説明するとしよう”
俺はその言葉を聞くと思わず舌打ちをしたくなった。やはりこの声の主はなんだかいけすかない。
“それでは最後に、マスターに選ばれた少年に私から言葉を送ろう。「光あれ」”
声の主はそう言うと後は何も聞こえなくなってしまった。
ただ、エリアの風の音が耳に入ってくる。
「それではマスター、先に進みましょう。このまま立っているだけでは何も起きま
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