第三話 剣士とビーター
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―――そして貴方は選ばれたのです…この儀式に参加するマスターの一人として…!」
「せ…聖杯!?殺し合いだって!?」
「はい。詳しい話は割愛させていただき…「「「オオオオオオ!!!」」」…」
セイバーが俺に説明をしている時後方で突然大きな歓声が聞こえてきた。
何事かと俺は振り返ると今まで沈黙していたプレイヤー達が何かを爆発させたかのように歓声を上げていた。
両手を突き上げて叫ぶ者。仲間と抱き合う者。滅茶苦茶な踊りを披露する者。嵐のような騒ぎの中、俺の目の前に立つセイバーにプレイヤー達は殺到していく。
「あんたスゲェよ、一体どうやったんだ!?」
「感動しちまった!!何処で戦ってきたんだ?」
「今までどこにいたんだ!?もったいぶらずにもっと早く出てきてほしかったぜ」
などとセイバーの周りにはあっという間に人だかりが出来ていた。
俺はそれを茫然と見つめていると隣に誰かの気配を感じた。ふと視線を向けるとアスナが俺の隣に立っていた。
アスナは俺をじっと見ており、俺も彼女の美貌に思わず見とれてしまっていた。
「お疲れ様」
彼女は小さく囁くとセイバーの方へと視線を向けた。
その言葉で、俺はようやく確信した。俺たちを閉じ込めていた最大の障害を遂に突破できたことを。
俺は思わずその場に座り込む。今までの疲れが一気にここにきて出てきたらしい。
すると目の前に手を差しのばされていることに気が付く。見上げるとそこには一際大柄なプレイヤーがいた。両手斧使いのエギルだ。
「……見事な指揮だったぞ。そして彼女にも勝るとも劣らない見事な剣技だった。コングラッチュレーション、この勝利はあんたの物でもある」
エギルは俺に右手を差し出しながらニッと笑って、賞賛してくれる。
俺は何と答えたものかと考えたが、気の利いた言葉がなにも思い浮かばなかったので、「いや…」とだけ呟いて彼の右手を掴もうとした。
その時だった。
「なんでや!!」
突然悲痛な叫び声が部屋中に響き渡る。叫んだのはキバオウだった。
「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!!」
「見殺し……?」
「そうやろ!!だってアンタは、ボスの使う技知ってたやんか!!アンタが最初からあの情報を伝えていれば、ディアベルはんは死なんで済んだかもしれんのやぞ!」
キバオウの叫びに残りのメンバー達もざわつき始める。
「そういえばそうだよな・・・」
「なんで・・・攻略本にも書いてなかったのに・・・」
疑問が広がっていく。その疑問から導き出される答えは一つだった。
「オレ・・・おれ知っている!!こいつベータテスターだ!!だからボスの攻撃パターンとか、旨いクエとか狩場とか、全部知ってるんだ!!」
一人のプレイヤーが俺を指さしそう言い放つ。
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