第5話 日輪の想い
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「ばっ、馬鹿言うな!そんなわけないだろ!」
「そこまで強く否定されると傷つくのだけれど・・・」
「あ、わるい」
「フフ、冗談よ。あまり気にしないで」
言って、少し離れてから士郎の顔を改めてみてから良かったと頷く。
「来た時よりわ元気になったわね。良かった」
「それもこれも全部旭のおかげだ。本当にありがとうな」
「構わないわ。普段から私の事も黙ってくれてるんだし。何より私も報酬貰った訳だしね」
「名前で呼ぶくらい、希望があればいつでも呼んだんだがな」
「良いのよ。これから呼び続けてくれればいいのだから。――――それで私はもう降りるけど、士郎はどうする?」
「悪いが俺はもう少し此処に居るから、先に教室の戻っていてくれ旭」
「ええ。それじゃあね」
笑顔で別れてから給水塔の下にある階段付近の壁に、何故か手を置く。
「此処に間違いなくいたわね。百代」
旭は熏柴韋威胴丸を普段から毎日使う為、それとは逆の気配感知も他のマスタークラスよりも非常に高く、百代が此処に居て自分と士郎の様子を盗み見ていた事も気づいていた。
「ごめんなさいね百代」
見せつける気があった訳では無い。
だが自分の存在が世間に対して大々的に公表される前の今じゃないと、もう二度と士郎に自分の気持ちを告白するタイミングを逸してしまう。
だからと言って付き合う気がある訳では無い。運命の日――――暁光計画が成功すれば、この地の周辺どころか世界中の何所にも自分の居場所は無い。文字通り“私”はこの世からいなくなる。
それもこれも父の悲願であり、世界の為でもある。
故に私は世界の為の礎――――人柱になる。
そして今はそれだけじゃない。
生まれて初めて女として好きになった異性――――衛宮士郎の未来の為。
未来の士郎の横に自分の居場所は無いモノの、彼の為と思えば諦観では無く覚悟として暁光計画にこの身を奉げる事に不安と恐怖を感じなくてよくなる。
「だからね百代。それに同じく上で盗み見していた燕も、今だけは許してちょうだい。そして」
――――私が消えた世界での士郎の事、よろしくね。
−Interlude−
先の屋上でのやり取りを士郎当人も屋上から去るまで見ていた視線が3人分あった。
1人は旭自身も気づいていた燕だ。
屋上で入り口の上に設置してある給水塔近くで偶然寝ころんでいた所で、後から来た2人の逢瀬を見てしまった感じだ。
ギリッと奥歯を噛みしめながら怒りに燃えている。
「赦さないよ・・・!私から士郎を横取りする泥棒猫は誰であろうと・・・・・・」
愛しの士郎の唇を三度も盗んだ匹夫の姿を忘れないように頭の中で形
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