第八十五話 護民官その十
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「君もね」
「注意が必要か」
「かなりね」
「じゃあ毒の心配もしておくか」
「言っておくけれどおいら達は大丈夫だよ」
淳二は今この場にいる十二人はと述べた。
「言うまでもなくね」
「ああ、仲間だからな」
「しかも利害関係一致してるんだよ」
「この島、世界を救うってな」
「それで君に一服盛るとかね」
それこそと言うのだった。
「個人的に相当憎しみを抱いてないとね」
「しないよな」
「うん、する筈がないよ」
それこそという言葉だった。
「絶対にね、そして君はおいら達からそうした感情もね」
「持たれてないから」
「それはわかるよね」
「ああ、俺だって御前等の誰か殺そうとかな」
それこそとだ、久志は淳二に答えた。
「思ったことすらないぜ」
「そうだよね」
「むしろ頼りにしてるぜ」
殺意を抱くどころかというのだ。
「本当にな」
「そう言ってくれると何よりだよ、それでね」
「ああ、この面々はな」
「安心していいから。あと奥さんもね」
淳二は久志に彼の妻であるハンナの話もした。
「わかるよね」
「奥さんがそんなことするかよ」
久志は十二人のことを言うことと同じ位の強さで言い切った。
「何があってもな」
「そうだよね、だからね」
「それでだよな」
「もう一切ね」
それこそというのだ。
「心配しなくていいから」
「御前等と奥さんはか」
「うん、ただね」
「世の中そうした相手ばかりじゃないからな」
「色々と注意しておくんだね、例えばね」
淳二はここで久志にあるものを差し出した、それは一個の指輪だった。中心に青く大きな宝石がある。
その指輪を差し出してだ、淳二はさらに話した。
「毒が近くにあると色が変わる指輪だよ」
「魔法の道具か」
「うん、ローマのジュエルショップで売っててね」
「それを買ってきてくれたのか」
「若し毒が近くにあれば今は青だけれど赤に変わるんだ」
宝石のその色がというのだ。
「その時はね」
「そりゃ便利だな」
「あと食器だけれど」
淳二は久志にこちらの話もした。
「銀のに換えた方がいいわね」
「贅沢だな」
「いや、確かに贅沢だけれど」
淳二も銀の価値を知っていてそのことは認めた。
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