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永遠の謎
76部分:第五話 喜びて我等はその十四

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第五話 喜びて我等はその十四

「だからだ。あの方はだ」
「見事な王ですか」
「色々と言われてもいますが」
「それでもなのですね」
「そういうことだ。ワーグナーだけではない」
 彼はまた言った。
「あの方は素晴らしい方だ」
「しかしあの方はカトリックです」
「そしてプロイセンとは何かと対立もします」
「決して味方とは限りません」
「それでもですか」
「あの方をそこまで」
「敵だからといって認めないことはだ」
 これが王の言葉だった。
「それは愚か者のすることだ」
「例えバイエルン王であってもですか」
「敵であっても認める」
「そうせよと」
「さもなければ誤る」
 ビスマルクの言葉は冷徹ですらあった。
「全てをだ」
「しかし今の閣下のお言葉は」
「それ以上のものを感じますが」
「それはどうなのでしょうか」
 官僚達はだ。また怪訝な顔になって彼に話した。
「お言葉ですが個人的な感情もありませんか」
「それはどうなのでしょうか」
「それもある」
 そしてだった。ビスマルクもそれは否定しないのだった。
「やはりな。そして」
「そして」
「そしてなのですか」
「あの方の様な人もいていいのだ」
 何処かだ。大切なものを護りたいというものも見せていた。
「そしてだ。あの方はドイツにとっての財産ともなられる方だ」
「財産ですか」
「そうだと」
「そうだ。しかしな」
 嘆息だった。そのうえでの言葉だった。
「今それがわかる者はだ」
「少ない」
「どうしてもですか」
「私はわかる」
 ビスマルク自身はだというのだ。
「わかるからこそ言えることだ」
「そしてオーストリアのエリザベート様」
「お二人だけですか」
「傍に誰かいればいいのだが」
 王をだ。心から気遣う言葉であった。

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