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戦国異伝供書
第二十四話 奥羽仕置きその三

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「大事にしたい」
「そうしてですな」
「万全に治めていく」
「そうされますな」
「そのつもりじゃ」
 まさにと言うのだった。
「だから伊達家の者達もじゃ」
「降ればよし」
「それで、ですな」
「後は天下を治める者のうちに入れますな」
「そうする、あの家も優れた者が多い」
 信長は既にこのことも見抜いていた。
「だからじゃ」
「是非にですな」
「天下の臣としますな」
「そうする」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 信長は今度は東北に向かった、既に常陸等関東の北東つまり東北に向かう場所も織田家の領地となっていたので進むのは楽だった。
 だがそれでもだ、信長は精兵達を率いつつ関東の道について話した。
「まだ道が悪く堤も橋も整っておらん」
「だからですな」
「戦の後で、ですな」
「そうしたところを治めますな」
「そしてじゃ、田畑や町もじゃ」
 そうした場所もというのだ。
「治めていくぞ」
「まだまだ関東は政が進んでおりませぬな」
「近畿や東海と比べて」
「そうした感じですな」
「だからじゃ」 
 それ故にというのだ。
「その政はな」
「しっかりとしますな」
「関東の者達に命じて」
「そうされますな」
「検地も行う」
 関東でもというのだ。
「そして百姓達に武具を収めさせてな」
「そうしてですな」
「そのうえで」
「万全に治める」
 関東もというのだ。
「無論東北もじゃ」
「領地は全てですな」
「万全に治める」
「関東もそうですが」
「そうしていきますな」
「まだ天下は一つになっておらぬ」
 例え東北を手に入れてもというのだ。
「気は抜けぬわ」
「はい、まだ九州があります」
 明智が信長に応えた。
「さすればです」
「それじゃ、まだ一つになっておらぬしな」
「それに、ですな」
「一つになってからもじゃ」
 それからもというのだ。
「万全に治める」
「それは絶対ですな」
「天下泰平を盤石に、三百年は安泰でいられる」
「三百年ですか」
「そこから先はわからぬわ」
「殿にしましても」
「だから何も言えぬ、千年の安泰というが」
 信長は明智にこの言葉も述べた。
「朝廷はともかく古今東西千年続いた世があるか」
「そう言われますと」
「ないであろう」
「寡聞にして」
 明智もこう答えるしかなかった。
「ありませぬ」
「そうじゃな、どうしてもな」
「千年先はどうとも言えぬ」
「滅せぬものはない」
 信長は自身が好きな敦盛の言葉も出した。
「ではな」
「千年先については」
「そうしたものだからじゃ」
 それ故にというのだ。
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