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戦国異伝供書
第二十四話 奥羽仕置きその二

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「伊達殿は」
「違うな」
「例え降しても」
「何かあればな」
「天下を望まれる」
「そうした者じゃな」
「随分と面白き御仁の様ですが」
 それでもというのだ。
「野心はです」
「かなり大きいな」
「そうかと」
 まさにというのだ。
「ですから」
「油断出来ぬな」
「殿の言われる通りです」
「仙台にやってじゃな」
「そうしてそこで内政に専念してもらい」
「抑えもじゃな」
「置くべきかと」
 その会津にというのだ。
「そうしてです」
「あの家は封じるべきか」
「他の家はどうにかなりましても」
「伊達家はじゃな」
「野心は消えぬでしょうから」
 政宗、彼の心にだ。
「ですから」
「わしもそう思うからな」
「会津はですな」
「あ奴から召し上げる、そのうえでじゃ」
「大名として遇されますな」
「そのつもりじゃ、しかしあの者確かに野心はあるが」
 それでもとだ、信長は主な家臣達に政宗の気質をさらに話した。
「随分面白い者の様じゃな」
「剣呑なところはあれど」
「それでもでしか」
「ご気質は面白い」
「伊達殿はそうした御仁ですか」
「話を聞くとそう思える」
 政宗の多くの逸話とをいうのだ。
「だからな」
「それで、ですか」
「伊達殿とはお会いしたい」
「そして重く用いたいですか」
「野心が強いなら封じてみせる」
 信長はその笑みに余裕も見せて述べた。
「そしてそのうえでじゃ」
「重く用いられる」
「殿はそうしたお考えですか」
「伊達殿については」
「他の家も同じじゃったがな」
 毛利や武田、上杉、北条といった家々もというのだ。
「しかしあの者達は最初から天下の野心はなかったか捨てた」
「ならばですな」
「その家々の方々はよいですな」
「それで」
「うむ、しかしあの者達も野心があれば」
 そうであったならというのだ。
「降して野心を封じてじゃ」
「用いておられましたか」
「左様でしたか」
「その考えであった」
 こう言うのだった。
「あの者達の資質は天下泰平をもたらしその後の政にも役立つものであるからな」
「しかもですな」
「殿はあの方々がお好きですな」
「左様ですな」
「お主達もじゃがな」
 笑って青尽くめの身なり織田家の証であるその身なりの彼等に話した。
「当然民達も国もじゃ」
「この天下もですな」
「殿はお好きですな」
「そうじゃ。わしは欲張りでじゃ」
 ここでも笑って言う信長だった。
「好きなものが多くてじゃ」
「それで、ですな」
「我等も伊達殿達も」
「民も国々も天下もですな」
「全て好きじゃ、そして好きだからこそな」
 それ故にというのだ。
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