あの艦隊の提督と白露型
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露は江風を捕まえた。
「聞いてよ江風! 提督が白露型十一番艦は嫌だって言うの」
「は? 姉貴……変なもンでも食った?」
「妹からの扱いがひどい!」
白露の嘆きが響く。
楽しくはあるが、提督は朝から少々疲れを感じるのだった。
草木も枯れた秋の暮れ。
冷えると思ったらサァサァと雨が降っている。
そろそろ暖房器具が必要だろうかと思った提督が家具のカタログを取り出すと、来客用のソファでくつろいでいた最近常に誰か1人は執務室にいる白露型駆逐艦の艦娘の時雨が提督の側に寄ってきた。
「提督、コタツをだすの?」
暖炉やストーブではなく、おコタという最終兵器をいきなり名指しした時雨に戦慄を覚え、提督は言葉を失った──りはせずにただカタログを眺めているだけだと言った。
「そう……」
時雨は椅子を持って来ると提督の隣に座り、一緒になってカタログを眺める。
「ストーブは見た目から暖かそうでいいね」
その顔はとても楽しそうだ。
提督は家具コインを貯めていて良かったと心の底から思う。
「暖炉もいいね。火にあたりながらロッキングチェアに揺られるのは憧れるよ」
カタログを眺めながら色々想像することを楽しむ時雨に、提督もつい心が暖かくなる。
「コタツもいいね。大きなコタツにみんなで集まって……2人、並んで入って」
時雨はとてもとても楽しそうだ。
「小さめのコタツに向かい合って入るのもいいね」
時雨はとても幸せそうな顔をして言う。
いつの間にか、時雨は提督の真横にまで近寄っていた。
「なによりコタツ布団があるからね
──卓上では正直そうなカオをしていても 炬燵布団の中では何をしているかわからぬものだ ──
──提督は何がしたい?」
提督と時雨が執務室でコタツを組み上げていると、白露型の十女、涼風がやって来た。
「ちわ! 今日は冷えるねぇ? いつだったかのココアのお礼を持って来たぜィ。あれ、そいつあ炬燵かい」
持って来た甘酒を棚に置き、涼風は組み立て途中のコタツに目を輝かせる。
「うん。涼風も組み立て手伝ってくれるかな」
「合点! 涼風様にかかればちょちょいのちょいよ!」
3人がかりの作業となると大きめのコタツもすぐに組み上がり、天板を乗せて涼風の持ってきた甘酒とミカンを置いて準備万端。
「あたいが先陣を切るぜ! うおりゃ!」
まだ温もっていないうちから涼風はコタツに潜り、しばらくしてから時雨は足を差し入れる。
そして提督はというと。
「姉貴、どうした? なんか不機嫌そう」
「ううん、なんでもないよ」
なんでもないと言いながら不機嫌そうな時雨の視線の先で、提督は膝掛けをして執務机で書類を作成していた。
そ
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