あの艦隊の提督と白露型
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室は寒くもなく暑くもなく。提督はポットに残していたお湯で2人分の飲み物をいれる。
「あたいにはココアで、提督は……コー‘シ’ーかい。大人だねー」
提督はまだ仕事が残っているのだ。
ココアを飲んであったまったら歯磨きをして早く寝るように言って書類に取りかかる。
「ココアごちそーさま。ありがとう」
涼風が執務室のドアを開けると、そこには白露型の八女、山風がノックしようとした体勢で固まっていた。
「山風の姉貴? なにやってんのさ」
「っ! 涼風が遅いから、探してたのっ!」
少しだけだが目を泳がせて、山風は涼風の手を取り部屋に向かって歩き出す。
「ちょ、姉貴速い速い」
提督は、山風が自分に何か言いたそうに見えたが気のせいだったかと書類に向き直った。
吹き下ろしの強い風が執務室の窓を揺らした。
紅葉の葉に白露の光る朝。
「いっちばーん!」
執務室に元気よく駆逐艦の艦娘、白露が飛び込む。本日の秘書艦ということで張り切っているようだ。
一番も何も、こんな朝早くから執務室に用事がある者もいないだろうと提督が言うと、白露は人差し指を立てて『ちっちっち』などと言ってウインクまでしてみせる。
「最近は涼風や山風まで提督提督で、用が無くても執務室に入り浸ろうとしたり提督を探したりするんだから」
お姉ちゃん寂しい! とか言いながら泣き真似をしてヨヨヨとくずおれる白露。
表情というか表現力豊かで見ていて飽きない。
白露と一緒であれば毎日楽しいだろうな、と提督は思い、一瞬後になにを血迷ったかとその考えを捨てる。
「なになに」
顔を覗き込んでくる白露に提督は、よく見ると目が怖いと冗談めかして言って少し距離を取る。
「ちょっと、そんなひどいこと言ったら名誉白露型の称号剥奪しちゃうからね」
そんな称号は聞いた事もないと返す提督に白露は。
「うん。だって今制定したもん」
思わず『いらねぇ』と素で言ってしまった提督を誰が責めようか。白露が責めた。
「そんなこと言わないでよぉ、お姉ちゃんは寂しい!」
オイオイと下手な泣き真似をする白露。このままでは仕事にならない。提督はお手上げとばかりに、分かった分かった、称号はありがたくいただきます、と言ってしまった。
「ホント?? じゃあ提督は今日から白露型十一番艦ね! ちゃんとお姉ちゃんの言うことを聞くように!」
どうしてそうなるのか。
明らかに白露の方が妹ではないかと提督が抗議すると、白露も反論する。
「あたしがネームシップなんだから、あたしがお姉ちゃん。OK?」
「朝から賑やかじゃん。姉貴、どしたン」
ギャアギャアと賑やかな執務室のドアを開け
、白露型の九女、江風が入室する。
すかさず白
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