第29話。使徒と人と。
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と死徒と人間。
「なんやろ?俺、怒っとんのか?」
「晋吾?」
「さがってろ、アルクェイド」
「あっ・・・・」
少し冷静に考える。今ある感情は怒り、喜び、愛しみ。
怒りは分かる。アルに対する教授の発言に怒ってるんだろうか?
喜びは何だ?怒れることに対して?
愛しみはなんだ?この感情はどこかで?
ああ、そうか、俺は重ねていたんだ。アルと性格が似ていたあの人と。
そして、改めて惹かれているのだ。コロコロと笑う。今のアルに。
だから怒れるんだ。だから嬉しいのだ。守れることに。愛おしいのだ。この可愛らしい姫が
今なら出来そうな気がする。
なるほど。キーは他者に対する激情か。皮肉だな幼女。使徒アポストロスも人ってことかい。
人を思わないと生きられない。
「テトラクテュス・グラマトン」
愛しみと内なる怒りとともに紡がれた言葉は、断罪の執行宣告だった。
この言葉をを聞いてすぐに動けた自分を褒めてやりたい。そうネロ・カオス、フォワブロ・ロワインは思った
666の獣の因子の半数を使って練り上げる『創生の土』。真祖の姫であるアルクェイドが万全でも破壊不能であろう。
これを破壊しようものなら、身動き一つできぬ状態で、大陸一つを破壊するのに等しいほどの難易度である。
しかし、捕縛したはずの土からは銀色の光が漏れ―――――
遠野志貴は思わずメガネを外してしまう。言葉と共に溢れるように銀色に光り輝く晋吾。
眼を開けてられないほどの光なのだが、志貴は限界まで眼を見開く。
死の線が見えな。・・・・いや、ないのだ。
メガネのおかげで見えなくなったと言っても、外せば見える。死の線がないこの光景に志貴は眼と心を奪われ、安らぎを感じる。
彼は常に疲れていた。何度も気絶しても、いくら寝ても、どんなに休んでも、眼が与える負担は大きい。
肉体の疲れは徐々に精神を蝕む。この眼を持ってから始めての十全な安らぎに
志貴は涙を流す。
真祖の姫は自らの感情を制御できずにいた。
名前を呼んでくれたことの喜び。怒ってくれたことの喜び。守る様に立ちはだかってくれたことの喜び。知識だけでしかなかった女としての喜びを感じることができる喜び。
初めて感情というものを与えてくれた彼が愛おしい。初めて安らぎと平穏を与えてくれた彼が愛おしい。
そして、溢れるような吸血衝動。
絶対の美味しいに違いない。彼なら快く飲ませてくれると。心赴くままに。という自分に都合のいい考えばかりが浮かぶ。
そして、血に溺れて私は彼のモノになる。彼の存在が私の意味になる。真祖の宿命から逃れられ
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