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魔法が使える世界の刑務所で脱獄とか、防げる訳ないじゃん。
第一部
第18-1話 新年魔法大会【書き初め】
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された。

「……え」

 そのまま墨池の蓋を開け、筆を持つ。が、すぐにその筆を手放す。

「は……」

 が、筆は浮き、琴葉が腕を振ると、操られたように動き出す。墨を付けられた筆は、そのまま半紙の前まで移動した。

「ウソん……」

 そして、素早く腕を振り下ろすと、筆が「謹賀新年」という文字を書いた。
 同じ様な流れで、小筆で「一舎 黒華琴葉」とも書いた。

 とても綺麗な字だったのが、少し苛つく様で、シンが舌打ちをする。


「オラ……さっさとやりやがれ。コツは文字をイメージすること。何をしたいのか、しっかりと想像することだ。分かってんだろ、さっさとやれやボケ。打っ殺すぞ」

 振り返った琴葉が、鋭い視線で俺達を睨み付けてくる。その横で要が苦笑を浮かべていた。既に書き終えているようで、後ろに綺麗な文字が書かれた半紙が浮かんでいる。

「看守達と喧嘩して、挑発されて、相当頭にきたっぽいよ? 暫くは大人しくした方が良いと思うー」

 ……でも、やり方が上手く理解できないんだよなぁ。

 浮遊魔法で浮かせて、固定魔法で位置を固定して、操作魔法で筆を操り、複製魔法で手本の字を複製して、その通りに筆が動くように操作すれば良いのか……?

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